ケラバ板金ってなに?役割やメンテナンスについて解説!

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外壁塗装や屋根のメンテナンスについて調べていると「ケラバ板金」という用語を目にするかもしれません。ケラバ板金は、住宅の寿命を縮めないために重要な働きをしています。

 

この記事では、ケラバ板金とは何か、その役割やメンテナンスの方法をご紹介します。

ケラバ板金は屋根の水切り板金


ケラバ板金は、屋根の一部分を指します。似た働きをしている他のパーツと混同し、誤った認識をしてしまう方も多いです。本章を参考にしてパーツごとの部位や名称、役割を認識しておきましょう。

 

ケラバとは

切妻屋根や片流れ屋根の雨樋がついていない面の端で、外壁から飛び出している部分を「ケラバ」といい、このケラバに取り付ける板金のことを「ケラバ板金」または「ケラバ唐草」と呼びます。上記のイラストで見ると紫色に塗られた斜面になっている箇所が「ケラバ」です。

 

あくまで「ケラバ」とは屋根の部品や製品名ではなく、場所を示す言葉ということを理解しておきましょう。

 

さらにこのケラバの側面で、雨樋がついていない面を「破風(はふ)」といい、雨樋がついている側面を「鼻隠し(はなかくし)」といいます。

 

建築業界に携わっていない人にとっては馴染みのない言葉で、これらの名称からその意味を連想しづらく、ケラバと間違った認識をしやすい用語です。

 

破風(はふ)、鼻隠しとの違い

破風とは、ケラバ下部の屋根の側面で雨樋がついていない箇所を指しており、破風板(はふいた)を取り付けることによって、雨水の侵入を防いだり、外壁を守ったりする役割があります。

さらに、強風によって屋根が吹き飛ばされることを防ぐ働きや、近隣で火災が発生したときに建物への火の侵入を妨げ、時間稼ぎをする防火性も重要な役割です。

 

鼻隠しの役割は破風板とほとんど同じですが、一つだけ明らかに区別できるポイントがあります。それは、雨樋が取り付けられていることです。

 

雨樋に対して鼻隠しは平行で、内側の垂木は垂直に通っており、雨樋を縦横どちらでも取り付けられる構造になっています。そのため屋根に降り注いだ雨を効率よく排水するためのサポート役も担っているのです。

ケラバ板金の機能

ケラバに取り付けられるケラバ板金には大まかに3つの役割があり、これを知るとケラバ板金がどれだけ大切な役割を担っているかを理解できます。

建物を長持ちさせるために重要なポイントでもあるので、わかりやすく解説します。

水切り(雨漏り防止

水切りとは、雨水の排水をスムーズにするための設計です。水切りの処置が施されていないと雨水が屋根の内部に入り込んでしまい、雨漏りの原因となります。

 

そしてこの水切りをするために取り付けられるのがケラバ板金です。ケラバ板金には雨水をスムーズに雨樋へ誘導するためのレールのような水の通り道があります。

 

また、レールのゴミ詰まりを防止する「シール付きケラバ水切り板金」はオーバーフロー(溢れ)による雨漏りリスクを軽減できます。

日光が入り込む量の調整

ケラバは建物内への日差し調節の役目も果たしており、季節に合わせた機能を発揮しています。容赦なく降り注ぐ夏場の強烈な日光は、ケラバが遮って窓から侵入する光の量を調節しています。これは、高い位置に太陽があるという夏の特性に合わせたケラバの利点です。

 

反対に、冬場は太陽の位置が低いので、ケラバが日光を遮らない構造になっています。気温が低く日照時間が短いので、できるだけ日光を取り入れたい冬場にはその特性に合わせた利点があります。

紫外線の防止

ケラバは日光を遮ることで、外壁やコーキングの劣化を抑え寿命を伸ばす役割もあります。外壁の劣化の原因はさまざまですが、その中でも最もダメージを与えているのが紫外線です。

 

外壁は、劣化を抑える高性能な塗料が塗布されていますが、どんな高性能な塗料でも毎日のように紫外線を浴びていれば必ず劣化します。また、外壁の目地に打ち込んでいるコーキングも紫外線により硬化し、ひび割れなどの劣化を起こします。

 

ケラバがない屋根もある

形状によってはケラバがない屋根もあります。寄棟屋根や方形屋根(宝形屋根)はピラミッド型の形をしており、屋根同士がつながっているため、鼻隠しはありますがケラバと破風が存在しません。

 

似た形状のマンサード屋根も同様にケラバと破風がなく、ビルやマンションに採用される陸屋根にはケラバと破風に加えて鼻隠しすらもありません。

 

建物にとって雨風の影響を受けやすいケラバや破風は、劣化や破損による雨漏りトラブルを引き起こしやすいです。新築時に寄棟屋根や方形屋根(宝形屋根)などのケラバが存在しない屋根形状を採用するのも家を長持ちさせる対策の一つです。

ケラバ板金を納める順序

スレート屋根などのケラバ板金は、屋根材の上から被せて固定するイメージを持たれる方が多くいます。しかし実際には屋根材の下に敷き込まれたルーフィング(防水シート)の上に取り付け、外壁方向に板金をL字型に折り曲げることで雨水が入り込まない構造を作り出しています。

 

また、瓦屋根を採用している場合、ケラバ板金は使用せず、袖瓦というケラバ用の瓦を使用して水切りの処置をしています。雨漏りや破損によるトラブルを引き起こしやすいケラバ板金の設置は、施工実績の多い経験豊富な業者を選んで依頼するのが良いでしょう。

ケラバ板金のメンテナンスの必要性と方法

ケラバ板金は釘やビスの浮き、板金のめくれや変形によって雨漏りを引き起こす可能性があります。お住まいを長く保つためには、経験豊富な専門業者による定期的な診断・メンテナンスの実施が必須です。

ケラバの破損の原因

建物の構造上、ケラバ板金は雨風に晒されやすい位置に設置されています。そよ風などの小さな風圧で壊れたり捲れたりすることはありませんが、日頃から雨や風、直射日光などの影響を受けていると固定している釘やビスが緩んだり、板金自体が変形したりすることがあります。

 

そんな状況になっていることを知らずに、台風による強風や春一番、竜巻などの突風がケラバ板金を直撃すると、板金が風に煽られて外れてしまうこともあるでしょう。

 

そうなると下地が剥き出しになって雨水の侵入を許すことになるので、かんたんに雨漏りを引き起こしてしまいます。最悪の場合、吹き飛ばされて近隣住宅に迷惑をかけてしまう恐れもあるので、破損を確認した場合は早急な対応が必要です。

 

ケラバ板金のメンテナンス・補修・交換

ケラバ板金の釘の浮き、変形、サビが軽度な場合は、ビスの増し打ちやサビ落としと塗装でメンテナンス対応が可能です。しかし、下地の腐食によりビスの増し打ちができない場合や変形、サビが重度である場合、下地交換や板金自体の交換が必要になるケースがあります。

 

ケラバ板金の痛みが激しいのであれば、屋根材自体もそれなりに傷んでいるケースがほとんどです。また、ケラバ板金や下地の交換を実施する際、周辺の屋根材を広範囲にわたって剥がす必要があり、一度剥がした屋根材の再利用はできません。

 

メンテナンスを依頼した業者からケラバ板金や下地材の交換を宣告された場合は、カバー工法や葺き替えなど、屋根全体のリフォームを検討した方が賢明であることも多いです。

ケラバ板金の施工の価格は?

ケラバ板金の費用相場は5,000円/m〜です。上記の相場は板金の材質によって変動しますが、材料費と工事費を含めた金額です。

 

これならすぐに施工依頼ができそうだと感じる方も多いかも知れませんが、これはあくまでケラバ板金のみを交換したときの費用相場です。実際にケラバ板金の交換を行う場合は、カバー工法や葺き替えなど、屋根全体のリフォームを行うことが多いです。

 

そのため、屋根全体のリフォームを見積もる際に、相場相応な金額なのかを確認する必要があります。ご自宅の屋根の形状や仕上がりにより、ケラバ板金の納め方もそれぞれなので、相場とかけ離れた提示があった場合は、しっかりと確認をしましょう。

まとめ

ケラバ板金にはいくつもの重要な役割がありますが、その分、雨風などの自然現象の影響を受けやすく、永遠に使い続けられるものではありません。

 

近年では費用を抑えるためにDIYしようとする方もいます。しかし、ケラバ板金を含む屋根の工事は、経験や技術に基づく専門的な知識がないまま取り組むと、症状を悪化させるだけでなく、けがをする危険性もあります。

 

アップリメイクでは無料の診断を承っているため、ケラバに限らず屋根全体のことでお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。

 
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