入母屋屋根ってなに?メリット・デメリットと雨漏り対策について
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入母屋屋根はお城や神社仏閣でよく見かける屋根づくりですが、一般住宅でも昔はよく使われていました。今の新築住宅では中々見ることのない入母屋屋根ですが、古くからの農村地帯などでは今でも残っており、古き良き日本の現園を残しています。
今回はそんな日本の伝統的な入母屋屋根について解説します。昔なからの重厚な造りで高級感もありますが、もちろんデメリットもあります。
実家のリフォームを考えている方や中古住宅を購入して住むのを検討している方などはぜひ参考にしてみてください。
母屋屋根とは?
最近の新築ではあまり採用されていない入母屋屋根。昔の日本では広く採用されており、お城や神社などでも使われている格式高い屋根形状です。
切妻屋根と寄棟屋根を合わせた勾配屋根の形式の一つ
入母屋屋根とは、屋根の上部が切妻屋根の形で、下部が寄棟屋根の形をした屋根です。伝統的な日本家屋の屋根の形で、格式高い屋根の形とされています。
この屋根の特徴は、切妻屋根のように屋根裏の換気が取りやすいことと、寄棟屋根のように四方に軒が下がっているため、雨が壁に当たりにくく耐久性が高いことにあります。まさにそれぞれの屋根のいいところを組み合わせたハイブリット型の屋根と言えるでしょう。
和風住宅で主に採用されており、最近の新築では採用されることが少なくなってきています。
入母屋の屋根の部位
入母屋屋根に限らず、屋根には各部位に名称が付けられています。職人さんなどと打ち合わせする際など覚えておくと非常に便利なため、ここでは入母屋屋根の代表的な部位について解説します。
降り棟
降り棟とは、切妻部分において大棟から軒先に向かって伸びている棟のことです。山のような形をイメージするとわかりやすいでしょう。
建物全体の見た目を決める重要な部位であるため、先端の装飾などこだわりを持って選べば、自分らしい屋根に仕上げることができます。
大棟
大棟とは、入母屋屋根の頂上部分の棟のことです。屋根の中でも最も主要な部位であることから、主棟や陸棟とも呼ばれています。端には装飾が施されることがほとんどで、よく鬼瓦が取り付けられています。
妻
妻とは、入母屋屋根においては、切妻部分の三角の壁面のことです。妻壁には漆喰が塗られていることがほとんどで、白く美しい見た目を実現してくれます。妻はもともと端のことを指す用語で、妻がある方向を妻側と言います。
建物の打ち合わせをするときなど、どこを指しているか分かり易いので覚えておくと良いでしょう。
隅棟
隅棟とは、寄棟屋根において、大棟から四隅に伸びる棟のことです。隅棟にも装飾を施すことがほとんどで、大抵は鬼瓦が取り付けられています。これは、装飾だけでなく棟に蓋をする重要な役割もあります。
入母屋屋根のメリット・デメリット
近年、特に都市部においてはあまり見なくなった入母屋屋根ですが、機能的にはとても高く素晴らしい屋根の形状であることは間違いありません。
もちろん、良いところと悪いところは表裏一体なのでデメリットがないわけではありません。
この章では、入母屋屋根のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
切妻屋根と寄棟のいいとこ取りをしたその特性から様々なメリットがあります。
ここでは大きくわけて3つのメリットについて解説します。
瓦の形や並びが美しい
入母屋屋根の最大の魅力は、なんといっても重厚で高級感あふれる見た目です。特に、日本の瓦との相性は抜群で、瓦の持つ美しさを最大限に引き出せる屋根形状でしょう。
伝統的な和風建築に採用されていることから、日本の風土や環境にもしっかりと馴染んでおり、新築に採用すれば、一つ上の住宅になります。和風建築で瓦と融合した外観の美しさを希望しているなら、選択肢の一つとして考えてもいいでしょう。
通気性が高い
入母屋屋根は、切妻屋根と同じく高低差のある広い屋根裏を実現でき、効率よく空気の流れを作ることができます。そのため、通気がよく換気性能が非常に高い屋根形状です。
建物の換気性が高いと、見えない部分で発生するカビや虫を防いでくれるので、腐食しづらくなり家を長持ちさせられます。さらに、広い屋根裏空間は断熱性向上にも一役買ってくれるため、光熱費削減など快適な暮らしの実現にも役に立ちます。
耐久性が高い
入母屋屋根は、軒が多くあるため非常に高い耐久性を誇ります。特に、寄棟となる下部が4方向に軒を下ろしているため、壁が風の影響を直接受けにくくなります。
そのため、どの方向からの風にも対応することができ強風が吹いてもびくともしない丈夫な家となり、安心して暮らすことができるでしょう。さらに、風だけでなく雨が直接吹き付けることも防いでくれるので、その部分の劣化も防ぐことができます。
耐久性が高いと高評価の屋根ですが、その理由は風や雨に対して直接当たらないようにうまく設計されているからでしょう。
デメリット
入母屋屋根にはデメリットも多く存在しています。採用を検討しているのなら、メリットばかりではなくデメリットも知ることが大切です。ここでは大きく分けて3つのデメリットについて解説します。
雨漏りのリスクがある
入母屋屋根は形状が複雑なため、雨漏りのリスクが非常に高い屋根になります。雨漏りは基本的に平場で起こることは少なく、屋根の接合部や谷、隙間などから発生します。複雑な形状であるということは、それだけリスクも高くなるということです。
さらに、一度雨漏りが発生してしまうと複雑な構は原因を特定することが難しいです。原因が特定できなければ修理も難しいため、シンプルな屋根形状に比べると調査費用や施工費用が高くなるといったリスクもついてきます。
耐震性が低い
住宅の耐震性能は、屋根の重量が影響します。入母屋屋根のように切妻屋根と寄棟屋根という実質2つの屋根が合わさったような形状は、通常の屋根に比べて非常に重たくなります。
そのため、耐震性能は良くありません。もちろん、屋根の形状や重量はあらかじめ計算に入れて問題ないように設計されてはおりますが、ガルバリウムのような金属屋根やコロニアルのようなスレート屋根みたいな軽量の屋根と比べると根本的に不利だということは間違いありません。
建築にかかるコストが高い
入母屋屋根は形状が複雑なことから、施工するのにも手間が掛かります。作るまでに多くの日数がかかるため、その分の人件費なども余計に必要です。入母屋屋根を採用したいと考えるならば、それなりの初期費用とメンテナンスコストがかかることは覚悟しておくことが大切です。
建てるのにも維持するのにもお金はかかりますが、他の屋根にはない唯一無二の存在感は、入母屋屋根の最大の特徴なので、よく理解した上で選ぶことが大切です。
入母屋屋根の雨漏り対策
入母屋屋根は複雑な形状から、雨漏りのリスクが高い屋根形状になります。雨漏りは一度発生すると直すのがとても困難なので、事前にしっかりとした雨漏り対策が必要です。この章では具体的な雨漏り対策について記載します。
雨漏りしやすい箇所
雨漏りが発生しやすい場所は、谷や壁との取り合いなどの接合部です。入母屋屋根は、屋根面が合わさる部分がとても多いことから、この接合部が多く存在します。そのため、雨漏りのリスクが高くなります。
漆喰が劣化し剥がれた部分
入母屋屋根に日本瓦を使う際は、施工手順として漆喰で隙間を埋めることで防水性能を高めています。そのため、この部分の漆喰が剥がれてしまうと雨漏りが発生する原因になってしまうでしょう。
漆喰が剥がれてしまうと、内部に施される葺き土が剥き出しになり、この状態で雨が降ると葺き土が流されてします。そうなれば雨漏りはどんどん進行して躯体にも影響を及ぼします。
また、漆喰の劣化は雨漏りだけでなく見た目にも影響してくるので、剥がれが見られるようなら早めに修理しましょう。
降り棟と隅棟が交わる箇所
降り棟と隅棟は、切妻屋根と寄棟屋根の形状が交差する部分です。棟が交差する部分は、雨漏り発生のリスクが高い「谷」のポイントになります。
屋根の弱点となる「谷」の部分は水が溜まりやすいので、補強のために板金が施されますが、板金も錆や劣化によりダメになるため、油断はできません。
入母屋屋根には「谷」になる箇所が多く存在するため、各所の劣化には十分注意しなければなりません。点検の際などは、重点的に確認するポイントです。
雨漏りをしてしまったら
対策をしっかりしていても、経年劣化などにより雨漏りをしてしまうことがあります。雨漏りしたらもちろん修理が必要ですが、何度も修理を繰り返すのも手間という方は、新しい屋根に吹き替えてしまう方法もあります。ここでは、修理方法や新しい素材について解説します。
修理方法
入母屋屋根の劣化のほとんどは、漆喰部分の経年劣化です。
そのため、漆喰を塗り替えることが修理方法の一般的な方法になります。
具体的には、剥がれた漆喰を剥離しファイバーネットを伏せてから中塗り・上塗りと漆喰を塗り重ねて仕上げていきます。
漆喰の劣化をそのままにしておくと、漆喰が落下してきたり雨漏りの原因になったりして危険です。
素早い対処が結果的に被害を少なくして、修理費用も安くおさえることにつながるので、定期的にメンテナンスをして確認するようにしましょう。
瓦をガルバリウム鋼板に吹き替える方法もある
定期的なメンテナンスを繰り返し続けて、30年〜40年経過した場合は、思い切って瓦からガルバリウ鋼板など、屋根材ごと変えてしまうのも良いでしょう。
雰囲気もガラリと変わり、スタイリッシュに仕上がります。また、瓦屋根は重厚感があって良いのですが、重たいため耐震性の低下が不安要素の一つでした。このあたりも、ガルバリウム鋼板にすると軽量化されるので向上され改善になります。
定期的な点検・メンテナンスが大切
どのような素材でも定期的な点検・メンテナンスは大切です。入母屋屋根も種類によって使われている材料が異なるため専門業者にしっかりと点検してもらいどのメンテナンス方法が最適か見極めることが大切です。
たとえばセメント瓦の場合は塗装をすることにより、瓦全体の劣化を防ぎ割れ予防にもつながります。妻部分には漆喰が使われていることがほとんどなため、年数が経過すると共に割れやすく、ボロボロになってしまいますが、定期的に塗り直すことで綺麗な状態を維持することができます。
大切なことは、異変が起きてからメンテナンスをするのではなく、起きる前にメンテナンスを行うことです。外からの観察だとわかりにくい部分もありますので、素材自体の耐用年数なども参考にしながら、各部位ごとにメンテナンス計画を立てていくと良いでしょう。
まとめ
入母屋屋根は屋根の種類の中でもとくに複雑な形状をしています。そのため、とても重厚感があり機能性も高いのですが、雨漏りに弱いのが難点です。雨漏りは一度起きてしまうと特定が難しく、補修しても再発のリスクがあることから、専門知識を持った技術力の高い職人の施工が必要になります。
管理が難しく、定期的な点検が必要になる屋根形状ではありますが、頼れる専門業者を見つけておくとそのあたりの心配もなくなりますので時間があるときに探しておきましょう。
それでも判断が難しい場合は、ぜひ一度アップリメイクへご相談ください。
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