屋根材の種類と代表的な屋根の形状

屋根は、屋根材や勾配、形状によって様々な種類に分類され、デザインやメンテナンス方法、価格などが変わります。また、雨漏りが発生しやすい箇所なので、耐久性や水はけなども重要です。

このページでは、屋根材の種類、屋根勾配、屋根の形状について紹介しています。

■屋根材の種類


屋根は、金属系、スレート系、セメント系、日本瓦、アスファルトシングルの5種類に分類されます。

●金属系


●ガルバリウム鋼板:平米単価6,000円~9,000円

ガルバリウム鋼板は、亜鉛・アルミ・シリコンを原料としたメッキ銅板で、1972年にアメリカで開発されました。

同じ成分の「ジンカリウム鋼板」もありますが、日本では、「ガルバリウム鋼板」が主流です。

メリットは、耐久性が高く、サビに強い、耐熱性と耐火性に優れている、軽量なので耐震性が高いといった点が挙げられます。

デメリットは、薄いため、断熱性と防音性が低く、衝撃に弱いためへこみやすいといった点です。

耐用年数は15年~30年程度で、耐用年数を過ぎると色あせやサビなどが発生する可能性があるので、定期的な塗り替えや葺き替えが必要です。

●銅板:平米単価18,000円~20,000円
銅板は、銅を原料とした屋根材で、現在は、一般住宅の屋根に使用されることは少ないです。

メリットは、50年以上の耐久年数、サビに強い、軽量で耐震性が高い、塗装の必要がないといった点があげられます。

デメリットは、酸性雨による経年劣化で穴が空く可能性がある、断熱性と防音性が低い、価格が高い、といった点です。

耐用年数は50年以上で、雨によって穴が空いた場合は、葺き替えやカバー工法を行います。

●トタン
トタンは、鉄板に亜鉛をメッキした「亜鉛メッキ鋼板」です。戦後に普及して屋根材の主流となりましたが、現在は、東北や北海道など積雪地域を除いて採用されることはほとんどありません。

メリットは、価格が安い、加工が容易、軽量で耐震性が高い、つなぎ目が無いので雨漏りに強いといった点があげられます。

デメリットは、耐久年数が低い、サビが発生しやすい、断熱性と防音性が低いといった点です。

耐用年数は10年~20年程度で、7年~10年程度で塗装によるメンテンナンスを行います。耐用年数を過ぎて劣化した場合は、葺き替えやカバー工法を行います。


●スレート系


●化粧スレート(カラーベスト・コロニアル):平米単価4,500円~8,000円
化粧スレートは、セメントに繊維を混ぜて板状にした屋根材で、現在の戸建てで最も採用されています。

メリットは、価格が安い、軽量で耐震性が高い、加工がしやすい、耐火性と耐熱性が高いといった点があげられます。

デメリットは、薄いので割れやすい、防水性が低いといった点です。

耐用年数は20年~25年程度で、10年程度のサイクルで塗り替えを行います。耐用年数を過ぎて劣化した場合は、葺き替えやカバー工法を行います。

●天然スレート:平米単価30,000円
天然スレートは、天然石を板状に加工した屋根材で、国内で採用されることはほとんどありません。

メリットは、天然石なので非常に耐久性が高い、断熱性と耐候性に優れている、高級感があるといった点があげられます。デメリットは、価格が高い、重いので耐震性が低い、割れやすいといった点です。

耐用年数は半永久的で、割れがある場合のみ補修を行います。


●セメント系


●厚形スレート瓦(プレスセメント瓦):平米単価6,000~10,000円
厚形スレート瓦は、セメントと砂と水が原料の屋根材で、化粧スレートよりも厚みがあります。

メリットは、加工しやすく品質が安定している、形や色が多い、遮音性と断熱性に優れているといった点があげられます。デメリットは、重いので耐震性が低く、防水性も低いといった点です。

耐用年数は30~40年程度で、10年程度のサイクルで塗り替えを行います。耐用年数を過ぎて劣化した場合は、葺き替えやカバー工法を行います。


●コンクリート瓦(モニエル瓦):平米単価6,000~8,000円
コンクリート瓦は、厚型スレート瓦よりもセメントの量が少なく、押し出し成形方式で作られ、仕上げに着色スラリーを施しています。

メリットは、防水性、耐火性、断熱性、防音性に優れている、日本瓦より価格が安いといった点があげられます。デメリットは、塗装に技術力を要する点です。

耐用年数は30~40年程度で、10年程度のサイクルで塗り替えを行います。その際に、着色スラリーをしっかり除去することが重要で、除去が不十分な場合は、塗膜が剥がれます。

耐用年数を過ぎて劣化した場合は、葺き替えやカバー工法を行います。


●日本瓦


日本瓦は、粘土を焼き上げて固めた屋根材で、お城などので採用されています。

メリットは、耐久性、耐火性、防音性、防水性、断熱性が高い点で、デメリットは、重いので耐震性が低い、価格が高いといった点です。

耐用年数は50年~100年で、塗装によるメンテナンスは必要ありません。但し、割れや下地の漆喰の劣化がある場合は、補修が必要です。

●アスファルトシングル:平米単価6,000円~8,000円


アスファルトシングルは、アメリカやカナダで普及しいている屋根材で、不燃布やガラス繊維のグラスファイバーにアスファルトを施して、表面を細かな石粒とアクリル樹脂で仕上げています。

メリットは、柔らかく加工しやすい、軽量なので耐震性に優れている、防音性と防水性が高いといった点があげられます。デメリットは、耐火性が低く、表面がザラザラしているので、コケやカビが発生しやすいといった点です。

耐用年数は20年~30年で、10年程度のサイクルで塗り替えを行います。但し、天然石を使用しているものは、30年以上塗り替えが不要です。


■屋根勾配

屋根の勾配は、傾斜の度合いによって3種類に分類されます。

●急勾配

急勾配は、6寸勾配以上で急な角度がある屋根です。そのため、水が溜まりづらく、雨漏りがしにくい特徴があります。

屋根裏の空間が広く、短熱効果が高いといったメリットがありますが、屋根面積が大きいので、施工料金が高くなります。

●並勾配

並勾配は、3寸~5寸勾配の屋根で、最もスタンダードで普及しています。そのため、屋根材やデザイン、トラブルに対するノウハウが豊富なメリットがあります。但し、一般的な形なので、個性的なデザインは難しいです。

●緩勾配

緩勾配は、3寸勾配以下の屋根で、角度が緩やかな屋根です。そのため、雨が溜まりやすく、雨漏りが発生しやすいです。但し、面積が小さいので、風の影響を受けづらく、施工料金が安いといったメリットがあります。


■屋根の形状

屋根の形状は、傾斜の有無によって、陸屋根勾配屋根に分類されます。

陸屋根は、平面で傾斜のない形状で、マンションやビルなどで採用されることが多く、戸建ての屋根におけるシェアは7%程度です。屋上スペースを有効活用できますが、断熱性が低く、雨漏りがしやすい特徴があります。

勾配屋根は、傾斜が有る屋根で、戸建ての多くで採用されており、次の7種類に分類されます。

●切妻屋根

切妻屋根は、一般的な屋根の形状で、三角屋根とも呼ばれています。雨水が流れやすいので、雨漏りしにくい特徴があります。

●寄棟屋根

寄棟屋根は、屋根の最上部から4方向に傾斜しています。台風に強く、耐久性に優れていますが、屋根の境目で雨漏りが発生しやすいです。

●方形屋根

方形屋根は、寄棟屋根の一種で、4方向の傾斜が同じ角度の屋根を指します。特徴は、寄棟屋根と同様です。

●片流れ屋根

片流れ屋根は、方向に傾斜していています。単純な構造ですが、デザイン性が高く、初期費用やメンテナンス費用が安い特徴があります。但し、1面に雨水が集中するため、雨樋などが原因で雨漏りが起こりやすいです。

●入母屋屋根

入母屋屋根は、寄棟屋根と切妻屋根が組み合わさった形状です。棟が多く、屋根同士が複雑に組み合わさっているので、雨漏りが発生しやすいです。

●招き屋根

招き屋根は、切妻屋根の一方を長くして、もう一方を短した形状です。屋根の高さが段違いになるので、強風や突風に強いと特徴があります。また、片側が勾配が急になるので、室内空間が広くなります。

●はかま腰屋根

はかま腰屋根は、切妻屋根の妻側に寄棟屋根のように屋根面を設けた形状です。建築基準法の高さ斜線制限がある場合は、屋根先端の高さを抑えられるので有効です。


■屋根の形はリフォームで変えることが出来る

屋根の形や勾配は、リフォームによって変えることができます。長年の間、雨漏りが解決しない場合に有効ですが、大掛かりなリフォームになるので、費用は高額になり、200万円~700万円程度が相場です。

■まとめ

屋根材は、主に5種類に分類され、屋根の形状も様々な種類があります。それぞれの特徴を把握した上で、適した施工やメンテナンスを行う必要であります。

雨漏りが長年解決しない場合は、リフォームで屋根の形状を変えることができます。但し、費用が高額なので注意が必要です。

 
お客様の声