マンションの外壁塗装が必要な3つの理由!費用相場も解説!
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カテゴリー:外壁塗装の基礎知識
外壁塗装などのメンテナンスは、マンション経営の重要ポイントです。建物を長持ちさせるだけでなく、他との競争に勝ち抜くためにも欠かせませんし、機能をグレードアップすることもできます。
ここでは外壁塗装の劣化を見抜く方法やメンテナンスを行うタイミング、塗料選びの方法、外壁塗装の工程、悪徳業者の見抜き方などを解説しています。外壁塗装について幅広く知ることで、自信をもってマンション経営に取り組むことができるでしょう。
マンションの外壁塗装の必要性
マンションの外壁塗装が必要な理由は「競争力の低下回避」「建物の保護」「既存性能のグレードアップ」の3つです。塗り替えまでの期間の目安は12年に1度、建て替えまでに2、3回の外壁塗装を行うことを国土交通省も提唱しています。
1:競争力の低下回避
新築のマンションに負けない競争力を持ち続けるために、外壁塗装は重要です。
マンションは築年数にしたがって劣化していくものですが、とりわけ目につくのは外観の劣化です。外壁塗装を行わないと、ライバルである新しいマンションに見劣りするようになり、入居率・家賃収入の低下を招くことになります。
すると外壁塗装が行えなくなるだけでなく、他の修繕も行えなくなってしまい、一層の老朽化が進みます。競争力がますます低下するにしたがい、入居率・家賃収入も低下していくという負のスパイラルに陥りやすくなってしまうでしょう。
2:建物の保護
建物を保護するという点でも、外壁塗装は重要です。
建物はコンクリートやセメント、鉄筋、木材などで造られていますが、それらは水分に弱い性質を持っています。塗装はそれらの素材を水分から守っている役割を果たしています。塗料により作られる膜(塗膜)がなければ、建物はどんどん劣化していってしまうでしょう。
そんな重要な働きを担っている塗膜も、時が経つにしたがい劣化していくものです。用いる塗料や立地で期間は変わりますが、塗装から12〜15年もたつと、壁面に塗膜が劣化したというサインが見られるようになるでしょう。
劣化した塗膜では十分に保護できなくなり、建物の劣化が進んでしまいます。当初の予定より建物が持たないということになりかねません。
3:既存性能のグレードアップ
マンションの外壁塗装には、性能をグレードアップさせる役割もあります。
後から建ったマンションほど、高い性能を持っているものです。建物を守る改修だけではなく、性能をアップさせる改良工事を行わなければ、新しいマンションとの競争に負けてしまいます。
外壁仕上げ材の改良やコンクリートの中性化抑止、シーリング剤の品質向上、断熱性の向上などが、外壁塗装でできる既存性能のグレードアップです。
あわせて屋根や屋上の塗装(メンテナンス)もおこなうことで、防水仕様や排水機能をグレードアップさせたり、断熱性能を高めたりすることもできるでしょう。
マンションの状態を新築時のまま保つだけでなく現代的な性能を持たせる上でも、外壁塗装は重要な役割を果たしています。
マンションの外壁塗装の費用相場
下の表はマンションの延べ床面積ごとに、外壁塗装の費用を計算したものです。表の中の「階数」については1階の延べ床面積を100㎡と仮定しています。
相場としている金額に大きな開きがある理由は、用いる塗料の種類や外壁の劣化状況により費用が大きく変わるからです。
グレードが高くて耐用年数が長い塗料や、断熱など付加価値のある塗料ほど費用はかかってしまいます。また劣化の進んだ外壁の塗装には行う前の修繕が必要になり、外壁塗装の費用を押し上げてしまいます。
マンションの延べ床面積(階数*) |
外壁塗装の費用 |
300㎡~500㎡ (3階~5階) |
200~400万円 |
500㎡~700㎡(5階~7階) |
300~600万円 |
700㎡~1000㎡(7階~10階) |
700~1,000万円 |
※1階の延べ床面積は100㎡と仮定
マンションの外壁塗装の周期・メンテナンス時期
国土交通省の、改修によるマンションの再生手法に関するマニュアルで提唱しているのは、12年に1度の大規模な修繕です。なぜ12年かというと、下の表にある通りマンションの多くの部位が12年程度でメンテナンスの時期を迎えるからです。
周期 |
|
屋根・屋上 |
露出アスファルト防水……12~15 年 保護アスファルト防水(保護層としてコンクリ ート押え層のある防水)…… 24~30 年 |
外壁 |
外壁……12〜15年 鉄部……5〜7年 アルミ……12〜15年 |
マンションの屋根・屋上
マンションの屋根や屋上は費用を節約するためにも、外壁と合わせたメンテナンスがおすすめです。定期的な塗替えや防水層のメンテナンスで性能を保ちましょう。防水仕様や材質のグレードアップをおこなうことで、メンテナンス周期を伸ばすこともできます。
屋根・屋上塗装の周期
屋根・屋上の塗装やメンテナンスの周期は、構造や仕上げで大きく変わります。
スレート材を用いた屋根なら、下地を守るために塗り替えが必要になります。周期は15年程度、外壁塗装との同時施工がおすすめです。
また屋上(陸屋根)でアスファルトの防水層が露出している造りなら、メンテナンス周期の目安は12〜15年です。グレードアップで防水層をコンクリートで保護する造りに変えるなら周期は24〜30年となり、メンテナンス周期を伸ばせます。
屋根・屋上のメンテナンス時期のサイン
スレート屋根なら退色、コケやカビの発生、屋根材のズレ、屋上(陸屋根)なら防水層のヒビ、浮きなどが劣化のサインです。そのままにしておくと雨漏りに発展してしまい、入居者の迷惑になったり、建物の構造を痛めたりすることになります。
メンテナンス時期は用いている屋根材や立地などで大きく変わります。劣化のサインが見られたなら、メンテナンス時期が来ていなくても適切な処理が必要です。同時にグレードアップをおこない、メンテナンス周期を伸ばすことも検討してみましょう。
マンションの外壁
外壁を再塗装する周期は12〜15年に一度、躯体修繕と同時に行うのが一般的です。劣化・修繕のタイミングが同時期になることが主な理由ですが、作業用足場の設置が一度で済むという費用面でのメリットも見逃せません。
外壁塗装の周期
外壁塗装の周期は12~15年に一度とされています。つまり1回目は築13〜16年、2回目は26〜33年、3回目は37~45年くらいで行われる計算です。
ただし用いる塗料や立地・環境によっては12〜15年も持たないこともあります。また、15年を過ぎてもまったく外壁塗装の必要がないということもあるでしょう。
メンテナンス時期をあらわすサインを見つけたら、躯体修理の実施とタイミングを合わせつつ、外壁塗装の予定を組みましょう。
外壁のメンテナンス時期のサイン
塗装の表面をさわると白い粉が手に付くチョーキングの発生や、コケやカビの付着、塗装の浮きなどは、外壁に再塗装が必要であるというサインです。
劣化のサインが出る頃にはベランダの手すりなどにはサビや腐食が発生していることが多く、コンクリートの下地にヒビも見つかることでしょう。外壁の再塗装や躯体修理と同時に行うことをおすすめします。
塗装ではなくタイル張りの外壁なら、タイルの浮きや目地部のひび割れなどがメンテナンスのサインになります。外壁塗装の耐用年数については、以下のリンクを参照してください。
外壁塗装の耐用年数について詳しく確認する
マンションの外壁塗装の種類
マンションの外壁塗装に用いる塗料のグレードは、主なものだけでも6種類あります。それぞれの耐用年数と、付加価値に注目してグレード選びを行ってください。
下の表にある中で、現在の主流となっているのはシリコン塗料です。主成分の合成樹脂にシリコンを含んでいるもので、価格と耐用年数のバランスに優れています。
シリコン塗料を上回る耐久性を求めるなら、無機塗料やフッ素塗料を使うのも良いですが、広い壁面積のマンションに関しては、コストパフォーマンスという点で主流になるまでにもう少し時間がかかるかもしれません。
かつては主流だったアクリル塗料は価格の安さが特徴ですが、耐用年数の短さから現在はあまり使われていません。
外壁塗装でマンションのグレードアップを狙うなら、セラミック(断熱/遮熱)や光触媒といった高付加価値の塗料を使いましょう。省エネ効果があるとされる塗料を用いることで、入居者募集のアピールポイントになりますし、雨水で汚れを分解する光触媒塗料を用いることで、外観を美しく保つことができるでしょう。
塗料 |
耐用年数 |
塗料価格(円/㎡) |
特徴 |
ラジカル |
8〜16年 |
2,200〜4,000円/㎡ |
塗膜を劣化させる「ラジカル」の発生を抑える機能を持つ |
シリコン |
7〜15年 |
2,300〜3,500円/㎡ |
現在の主流、コストパフォーマンスに優れる |
セラミック(断熱/遮熱) |
10〜25年 |
2,300〜4,500円/㎡ |
断熱・遮熱効果を持たせることでグレードアップに |
光触媒 |
10〜20年 |
3,800〜5,500円/㎡ |
光で汚れを分解する作用があるので、外観を美しく保つ |
無機塗料 |
10〜25年 |
3,500〜5,500円/㎡ |
紫外線で劣化しにくい無機物を配合することで、高い耐久性を実現 |
フッ素 |
12〜20年 |
3,500〜4,800円/㎡ |
フッ素樹脂を配合することで、優れた耐久性を実現 |
※足場・補修費・諸経費など含まず
外壁塗装の種類について詳しく確認する
マンションの外壁塗装の手順と工程
マンションの外壁塗装は、一戸建てと比べると長い期間がかかります。50戸未満なら1~2ヵ月、50戸以上なら2~3ヵ月と、戸数が多いほど工期は長くなり、半年以上かかるケースもしばしば見られます。
外壁塗装を依頼する手順
外壁塗装の劣化が見つかったなら、以下の流れで依頼する業者を決定しましょう。
- 1.外壁塗装業者を探す
- 2.外壁塗装の塗料や色を相談する
- 3.見積もりを依頼する
付き合いのある業者も含めて3社ほどを選んだら、塗料のグレードや色を決めて見積もりを依頼しましょう。注意点は見積もりの条件を揃えることと、高すぎる業者と安すぎる業者の両方を避けることです。理由は安すぎる業者は手抜き工事を行う恐れがあるからです。複数の業者への見積もり依頼は、相場観を養う上でも大切です。
外壁塗装工事完了までの工程
外壁塗装の施工手順を知ることは、手抜き工事を防ぐために大切です。外壁の施工手順は、以下の流れで行なわれます。
- 1.近所への挨拶
- 2.足場の組み立て
- 3.外壁の洗浄
- 4.養生
- 5.下地処理
- 6.塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
- 7.足場の撤去
- 8.確認
特に手抜きが起きがちなのが「3.外壁の洗浄」と「5.下地処理」「6.塗装(下塗り・中塗り・上塗り)」の工程とされています。いずれも外壁を美しく仕上げるだけでなく、耐用年数を長くするためにも重要な工程のため、タイミングを見て現場をチェックすると良いでしょう。
また工程を知ることは、入居者の方にお知らせするのにも重要です。思わぬクレームに発展させないためにも、いつごろどのような工程に入るかを把握しておきましょう。
まとめ
外壁塗装を含むマンションのメンテナンスは建物を長持ちさせるだけでなく、他との競争に勝ち抜くためにも重要です。
12〜15年周期で外壁塗装を繰り返すことで、入居を検討されている方のイメージが良くなり、断熱・遮熱効果など付加価値を持たせられるでしょう。また外壁塗装と他の箇所のメンテナンスを同時に行うことで、費用を節約できます。メンテナンスはマンション経営の重要なポイントなので、慎重に依頼しましょう。
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