外壁塗装はローン控除で減税になる!適用条件や手続きを解説
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カテゴリー:外壁塗装の基礎知識
住宅ローン減税と聞くと新築住宅購入時に利用できるイメージをしがちですが、外壁塗装のリフォームにも対応しています。住宅ローンを利用してリフォームした場合、リフォームローン減税(住宅借入金等特別控除)が用意されており、減税処置を受けられる可能性があります。
しかしローン控除を受けるにはいくつかの条件があり、手続きも少しだけ複雑です。この記事では、外壁塗装を行った場合に、ローン控除を受けるための方法について解説していきます。
外壁塗装に関するローン控除の概要
ローンを利用しての外壁塗装は、所得税の特別控除の対象です。確定申告でその年の所得から、ローン残高の一部を引くことができるため、その分の税金を納めなくて済みます。
外壁塗装でもローン控除されます。ローン控除に関する知識を深めるのをきっかけに、外壁塗装を検討してみてはいかがでしょうか。
ローンの控除金額
ローンで控除される金額は、年末の住宅ローン残高の0.7%です。
ローン残高が多いほど制度をフルに利用できるため、外壁塗装だけでなく屋根の塗装など、懸案のリフォームを一気に進めるのも良いでしょう。
ちなみに定められている借入限度額は2,000万円です。ローンが控除される期限である10年間を通じて、年末のローン残高が2,000万円を超えていたならば、2,000万円×0.7%×10年間となり、総額で最大140万円の控除が受けられる計算です。
ローンの控除を受けられる期間
上でもお話ししましたが、ローンの控除を受けられる期間は10年間です。
一方で住宅を新築する場合は13年間、令和4年に控除率が1%から0.7%へと引き下げられたことにともなって、10年から13年へと延長されました。
注意点はローンの控除を受けられる期間が「最大」ではないことです。ローン期間が10年以上なら制度を利用できますが、10年未満なら利用はできません。ローン控除を利用したい場合は、10年以上のローンを組みましょう。
控除は何度でも受けられる
住宅ローン控除は何度でも受けられます。たとえば新築住宅を購入して住宅ローン控除を受けた後に、外壁塗装のためのローンを組んでも控除の対象になるのです。
また住宅ローン控除は並行しての利用も可能です。たとえば中古住宅を購入して住宅ローンの控除を受けながら、外壁塗装のためのローンを組んで控除を受けることもできます。
ただしこれは住宅ローン控除に限ります。別の項目でも説明していますが、他の特例を受けている間は控除の対象とならないケースもあるので注意しましょう。
外壁塗装のローン控除が適用される条件
ローンを組んで外壁塗装を行えば、どんな場合にも控除が受けられるわけではありません。いくつかの条件をクリアする必要があります。条件すべてを満たしているか、ローン控除を利用する前にチェックしておきましょう。
自分名義で実際に住んでいる住居
ローン控除を受ける本人が居住している家であることが条件の一つです。
現在住んでいないなくても外壁塗装の終了後6か月以内に住み始めるならば、ローン控除が適用されます。中古住宅を購入して、外壁塗装などのリフォーム後6か月以内に入居するなら、ローン控除の対象です。
また控除を受けたなら、その年の12月31日まで住み続けなければなりません。独立型の店舗や資産運用として経営しているアパートなどは対象外です。居住中の住居を増改築し、ローン控除を受けてから手放す場合には用いることはできません。
また持ち家が複数ある場合、対象となるのは主に居住している1軒のみです。つまり別荘は対象外ということです。
耐震基準に適合している住宅
外壁塗装を行う住宅が昭和57年(1982年)以降に建築されていることも条件です。
昭和57年以降に建てられているということは「新耐震基準」を満たしている建物です。一定以上の耐震性があるとみなされなければ、ローン控除を受けることができません。
ちなみに耐震基準は平成12年にも改正が行われ、新耐震基準より厳しいものが施行されました。昭和の時代に建てられた住宅の外壁塗装を行うなら、現行の耐震基準に合わせるためのリフォームもあわせて検討してみるのもよいでしょう。
床面積が50㎡以上かつ2分の1以上が居住用であること
ここでの床面積とは登記簿に掲載されている面積のことです。ビルトインガレージやベランダ、バルコニーなどは除かれます。1坪は約0.3坪なので、50㎡以上なら15.13坪。1畳単位で考える場合は1畳2坪なので約30畳の計算です。
マンションなど集合住宅の場合、床面積はベランダなど共用部分を除いたスペースを指しています。共同住宅の場合、外壁塗装をローン控除の対象にするのは難しいですが、他のリフォームは対象です。
そして2分の1以上が居住用ということなので、店舗や事務所を兼ねている住宅の場合、それらが占める面積が半分以下である必要があります。
二世帯住宅の場合、他の世帯が居住するスペースの面積もあわせて50㎡を上回っていれば条件はクリアです。
合計所得が2,000万円以下
控除を受ける方の所得が2,000万円以下であることが条件です。ローン控除を受ける年に得た給与や事業、不動産、配当などの合計から、損失などを控除した額が2,000万円を下回っていなければなりません。
合計所得と聞くと控除を受ける世帯の所得の合計のように聞こえますが、あくまでも「控除を受ける方一人の所得の合計」なので、多くの方が対象となるでしょう。
以前は3,000万円以下と定められていましたが、令和4年度の税制改正で2,000万円以下に引き下げられ、対象となる方が増えました。ただし今後の税制改正で引き上げられる可能性もあるため、ローン控除の利用には外壁塗装に取りかかる前の確認が必要です。
100万円以上の修繕工事
控除を受けるのは、外壁塗装の工事費用が100万円を超えることが条件です。この場合の工事費用は税込みで考えます。
床面積が50㎡以上の一戸建てなので、塗料のグレードや外壁面積によっては100万円を下回る可能性があります。控除を狙うために塗料のグレードを上げる必要がある場合もあるでしょう。
ただし工事費用を上げてローン控除を受けるより、費用はそのままでローン控除を受けないほうが得になるケースも考えられるため、どちらがよいかは検討する必要があります。
ローン控除は地方自治体が用意している他の補助金との併用が可能です。その場合、工事金額から補助金を差し引いた金額が100万円を超えている必要があるため注意してください。
ローンの返済期間が10年以上
リフォームローンを利用した外壁塗装でも、返済期間が10年より短いならばローン控除の対象にはなりません。
ローン控除を受けたいがために、現金一括で支払えるにもかかわらずローンを利用したり、返済期間を10年以上にのばすことも考えられます。その場合には支払わなければならない、もしくは増えるであろう利息と、控除することで節約できる納税額をよく比較してください。
また控除の対象となるのは、一般的な金融機関のローン商品です。親戚や友人などからお金を借りて外壁塗装を行った場合は対象外ですし、勤務先などの貸付制度を利用する場合は、0.2%以上の利率である必要があります。
この場合も金融機関のローンと有利な貸付制度、控除により節約できる税金の額を比較しなければなりません。
他の特例を受けている場合は控除できない可能性がある
他の特例とはたとえば「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」です。住んでいた土地や建物を売って得た利益は、最高で3,000万円の控除を受けられますが、この場合はローン控除を受けることができません。
住んでいた家を売って中古住宅を購入するなど、住み替えを行った場合には上記の特例に当てはまることがあります。他のローン控除と併用できない特例については、以下のサイトをチェックしてください。
また外壁塗装でローンを組む場合の注意点は、以下のリンクを参照してください。
外壁塗装のローン控除に必要な手続き
外壁塗装のローン控除を受けるには、給与所得者(サラリーマン)も確定申告を行わなければなりません。
注意点は初年度とそれ以降の手続きが異なることです。提出書類が変わるほか、給与所得者は年末調整でローン控除を受けることができます。外壁塗装時の確定申告の注意点は、以下のリンクを参照してください。
初年度の手続き
初年度の手続きは確定申告書に必要書類を添えて、所轄の税務署長あてに提出することで行います。確定申告書には必要事項を記入しておきましょう。必要書類は下記にまとめたので参照してください。
外壁塗装だけでなく他の業者にもリフォームを依頼するなど、複数から交付を受けている場合、その分の増改築等工事証明書が必要になります。
書類の提出の方法には「所轄の税務署の受付に持参する」「郵送や信書便で送付する」「税務署の時間外収受箱に投函する」「e-Taxで申告する」の4通りがあります。
受付に持参する方法は、担当者がその場で不備がないかをチェックしてくれます。確定申告になれていない方には向いているかもしれません。
マイナンバーを取得されている方なら、PCやスマホで申告できるe-Taxがおすすめです。青色申告特別控除額の上限が10万円アップするなど、様々なメリットがあります。
e-Taxのくわしい手続きは「国税庁動画チャンネル」が公開している「パソコン申告(住宅ローン控除の適用を受ける方の確定申告をe-Tax送信)」などの動画を参考にすると良いでしょう。
書類 |
入手場所 |
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 |
務署または税務署ホームページ |
外壁塗装の借入金の年末残高等証明書 |
金融機関 |
増改築等工事証明書(※) |
下記のいずれか ①建築士事務所登録をしている事務所に属する建築士 ②指定確認検査機関 ③登録住宅性能評価機関 ④住宅瑕疵担保責任保険法人 |
登記事項証明書(家屋)、または登記簿謄本 |
法務省 紛失した場合は法務省のサイトから取得可能 480円から600円の手数料がかかる |
源泉徴収票(※給与所得者) |
勤務先 |
補助金利用の証明(※補助金を利用した場合) |
自治体など |
※増改築等工事証明書を発行するために必要な書類
・申請家屋の登記事項証明書等 ・工事請負契約書等 ・設計図書等 ・補助金交付額決定通知書等(補助金等を受ける場合)
2年目以降の手続き
2年目以降の手続きは給与所得者なら年末調整、自営業者は確定申告で行います。確定申告書に加えて以下の書類がそれぞれ必要になりますが、給与所得者は職場に提出します。
職場に提出するのは、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から送付される「外壁塗装の借入金の年末残高等証明書」の2種類です。
年末調整時の申請をもし忘れてしまったら、もう一度年末調整を行ってもらうか、ご自身での確定申告を行うかで対応してください。これらの手続きでローン控除を問題なく受けることができるでしょう。
【確定申告の場合】
書類 |
入手場所 |
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 |
税務署または税務署ホームページ |
外壁塗装の借入金の年末残高等証明書 |
金融機関 |
【年末調整の場合】
書類 |
入手場所 |
年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 |
税務署から送付 |
外壁塗装の借入金の年末残高等証明書 |
金融機関 |
まとめ
外壁塗装などのリフォームでローン控除を受けるための条件は少々複雑です。給与所得者の方なら慣れない確定申告も行わなくてはならないため、戸惑っている方も多いでしょう。
しかし実際はそれほど難しくないのがローン控除です。通常なら外壁塗装業者も制度をよく知っているはずなので、利用するためのアドバイスがもらえることでしょう。
100万円、10年間以上という条件は高額です。外壁とあわせて屋根も塗装するなど、他の増改築についても検討してみましょう。
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