外壁塗装のコーキング工事とは？役割・工事の種類と注意点を解説！

外壁塗装の見積書にある「コーキング（シーリング）」の項目に疑問を感じたことがある人もいるでしょう。コーキングとは外壁材の目地に用いられるゴム状のもので、水分から外壁材や家を守るために用いられています。

コーキングの箇所に隙間やひび割れができているなら、打ち直しによる補修を検討しましょう。

ここではコーキングの役割や、補修にかかる費用について解説しています。コーキングの打ち直しの順番や、補修を安く上げる方法についても扱っているため、コーキングについて知りたい方はぜひ確認してみてください。

外壁塗装のコーキングとは？

コーキングは外壁材の目地（隙間）やひび割れの補修に使われます。

アクリルやウレタン、シリコンなどいくつかの種類に分けられますが、目的によって使い分けられており、おおむね10年で交換時期を迎えます。

 
コーキングは主に防水のために用いられますが、外壁材同士がぶつかる衝撃を和らげるのもコーキングの大切な役割です。劣化しているのを見つけたら、なるべく早く外壁塗装業者に修理を依頼しましょう。

外壁塗装のコーキングの役割

建材の隙間やひび割れを埋めることで水分や汚れの侵入を防ぐことや、クッションになることが外壁塗装におけるコーキングの役割です。

コーキングとよく似た言葉にシーリングがあり、目地に行われる詰め物を「コーキング」、防水を目的に行われる詰め物を「シーリング」と使い分ける場合があります。しかし外壁塗装における両者は、同じ意味で使われるのが一般的です。

業者によっては見積もりにコーキングではなくシーリングと書く場合もありますが、基本的には同じものです。

建材の隙間を埋める

コーキングの役割の一つに外壁材同士の目地を埋めることがあげられます。

たとえばサイディングボードなら、定型のものが何枚も連なって外壁をおおっています。それぞれの目地がコーキングで埋められていないと雨水や泥が浸入してしまい、外壁材の寿命が短くなってしまいます。

寿命を迎えた外壁材からは雨水や汚れがどんどん浸入するため、建物自体にもダメージが大きくなるでしょう。建材の目地を埋めることで、外壁材を守るのがコーキングの役割です。

ひび割れ防止・緩衝

外壁材同士がぶつかるのを防いで、ひび割れを防止することもコーキングの役割です。

地震や大きな車の通行で外壁に大きな力が加わると、固定されているとはいえサイディングボードは振動してしまいます。またサイディングは気温の変化で膨張・収縮を繰り返しています。目地にコーキングがほどこされていないと、ボード同士がぶつかってひび割れてしまうでしょう。

劣化したコーキングは本来の弾力性を失ってしまい、緩衝材の役割を果たさなくなってしまいます。コーキングのメンテナンスが行われていない家では、サイディングボードひび割れが見られるものです。

コーキングは緩衝材の役割も担っているため、素材の弾力性も重要です。

防水効果

外壁材同士やサッシとの隙間を埋めているコーキングは、家の骨組みまで雨水が浸入するのを防いでいます。サイディングだけでなく、家自体の劣化を防いでいるのです。

コーキングが劣化すると隙間ができて、雨水が浸入するようになります。雨漏りの原因になり、木を腐らせたりシロアリを呼び寄せたりするでしょう。劣化したコーキングは、家自体の劣化を招いてしまいます。

キッチンやバス周りに使われているコーキングにも、同じことがいえます。

外壁などの補修

外壁にできたひび割れの補修にもコーキングが用いられます。

窯業系サイディングやALC、モルタルなどの外壁は、経年の劣化でひび割れができてしまいます。そのままにしておくと振動や膨張・収縮が原因で、ひび割れが次第に大きくなっていきます。そこから雨水が浸入し、外壁材や家自体を痛めてしまうでしょう。

外壁材にひび割れを見つけたら、早めにコーキングを充填することで、家へのダメージが大きくなるのを防ぎましょう。

外壁塗装のコーキング工事の種類

コーキング補修には増し打ち工事と打ち替え工事の2種類があります。

増し打ちとは劣化したコーキングはそのままに、上から新たにコーキングを施工する方法です。打ち替えとは劣化したコーキングを取り除いた後に再施工する方法で、外壁塗装業者は劣化の度合いによって、増し打ち・打ち替え（打ち直し）のいずれかを選択します。

コーキングは塗装のように面積ではなく、施工する長さによって費用がかかります。施工単価は手間がかかることから、コーキングの打ち直し工事の方が高くなってしまいます。

※費用相場は一般的な30坪の住宅で計算

増し打ち工事

既存のものの上から新たにコーキングを注入する増し打ち工事は、コーキング部の劣化が少ない場合に行われます。また構造上劣化したコーキングを除去しにくい場合も、増し打ち工事が行われます。

メリットは費用がかからないことですが、経年によりコーキングがやせている場合や、ひび割れを起こしている場合は、増し打ち工事では対応できません。増し打ちは劣化した部分を上から防ぐことしかできず、根本的な補修にはならないからです。

新たに打ち替えたなら10年は持つところ、増し打ちなら2～5年程度しか持たないことや、コーキング内部や裏側に不良個所があっても気づきにくいことがデメリットです。古いコーキングと新しいものが馴染まずに、増し打ちの部分がはがれてしまう危険性もあります。

打ち替え工事

打ち替え（打ち直し）工事は、多くのケースでおすすめの補修方法です。既存のコーキングを取り除いて改めて注入することで、コーキングは本来の防水性や弾力を持ったものになります。

コーキングの打ち直しの順番は「劣化したコーキングをカッターなどで取り除く」「コーキングがなじむようにプライマー（下地剤）を塗る」「除去した個所にコーキングを打ち直し」となります。既存のコーキングを除去するだけの手間がかかりますが、手間をかけた甲斐のある補修になるでしょう。

デメリットは手間がかかるだけ費用が高額になることですが、コーキングがやせている場合やひび割れを起こしている場合にも有効です。打ち増しよりは耐久性も高まり7〜10年、より強いものを用いれば15年くらいはメンテナンスの必要もありません。

外壁塗装のコーキングに関する注意点

ここでは施主さんがコーキングの工事で注意しておきたいことをあげていきます。注意点を知っておくことで施工不良に早く気づけて、最適な依頼先やタイミングも知ることができます。

施工不良に注意

コーキングが定められた耐用年数を満たせるよう、施主さんは施工不良がないかを注意しましょう。

ありがちなコーキングの施工不良は十分な厚みがないことや、プライマーの量がたらずコーキングの片側に隙間が空いてしまうことです。

またコーキングの選択を間違えると、上から行った塗装がコーキングの個所だけはがれるトラブルも起こりえます。シリコンコーキングは本来なら塗装ができませんが、誤って用いてしまうとはがれてきてしまうのです。

耐用年数を待たずしてコーキングの劣化が始まっていないか、施主さんはチェックする必要があります。もし見つけたなら施工した外壁塗装業者に連絡し、補修を依頼しましょう。

ただ、施工不良が起こらないように実績が豊富な外壁塗装業者を選ぶことが第一です。

コーキング工事のタイミングが大切

コーキングの補修は、外壁塗装と同時に行うのが理想です。高い位置のコーキングを補修するなら、簡単なものでも足場を組まなければならないため、同時に行うことで足場代を節約できるためです。

また、コーキングだけを補修した場合、その箇所のみ塗装はしないことが一般的です。塗膜による保護がないことから耐久性がひくくなり、劣化が早まってしまいます。

コーキングがむき出しになった外壁はデザイン的にも問題があります。その箇所だけ周りから浮いているように見えるでしょう。とはいえコーキングの補修箇所を塗装すると費用がそれだけかかりますし、周りと色を合わせるのも難しいものです。

外壁塗装と同時にコーキングを補修すれば、費用も節約でき塗膜でコーキングの耐久性も上がります。

防水施工技能士の施工が望ましい

コーキングは専門家である「防水施工技能士」の資格保有者が行うのが理想です。施工不良を未然に防ぎコーキングによる確かな防水を求めるなら、外壁塗装業者に在籍しているかを確認するのもよいでしょう。

防水施行技能士とはコーキングだけでなく、陸屋根やベランダなど防水工事全般に関する国家資格です。1級に合格するには7年以上の実務経験が必要になるため、確かな技術を持っていると考えられます。

コーキングの施工には必ずしも防水施行技能士である必要はありませんが、外壁塗装業者に資格保有者が在籍しているかどうかは、信頼できるか否かの一つの目安になります。もし屋根の雨漏り修理も同時に依頼するなら、資格保有者が在籍することの重要性は増します。

コーキングには重要な役割がある

サイディングの目地を埋めているコーキングは、外壁や家を守る重要な役割を負っています。コーキングが劣化すると雨が侵入してしまい、外壁材や家の骨組みに深刻な影響をおよぼす可能性があります。またコーキングは外壁のひび割れ補修にも用いられます。

劣化したコーキングは打ち直しがおすすめですが、補修は外壁塗装と同時に行うのがよいでしょう。足場代など費用の節約やコーキングが長持ちすることが期待できます。コーキングの補修は信頼できる外壁塗装業者に依頼してください。