モルタル塗装とは?外壁に使ったときの特徴や再塗装するときのポイント!

外壁材のなかでもモルタルは特にひび割れを起こしやすいのが特徴です。自宅の外壁を長持ちさせるためには、定期的に外壁塗装でメンテナンスしなければなりません。

 

外壁塗装に慣れていない方は、モルタル塗装のポイントや注意点をあまり知らないことも多いでしょう。

 

そこで、この記事ではモルタル塗装の特徴や劣化症状別のメンテナンス方法、最適な塗料など、モルタル外壁に関する知識を一通り解説していきます。

 

モルタル塗装とは?

まずはモルタル塗装の概要について押さえておきましょう。

ここでは大まかな特徴と、塗装方法による違いを詳しく解説していきます。

 

モルタル塗装の特徴

モルタルは古くから住宅の外壁として使われてきた素材です。不燃性があるため、木造建築が主流だった日本家屋でよく普及したと考えられています。

 

モルタル塗装では、セメントと土を混ぜたペースト上のモルタルを、職人が一軒ずつ手作業で塗っていきます。吹き付け塗装で仕上げるため、さまざまな模様やパターンを自由に付けられるデザイン性の高さがメリットです。

 

ただし、サイディングなどと違い手間と時間がかかるため、工期が長くなる・費用が高くなるといった注意点があります。また、耐水性が低くひび割れを起こしやすいため、定期的なメンテナンスが必要となります。

 

モルタル外壁の塗装方法による違い

モルタル外壁は「どのような仕上がりにするか」によっていくつか種類が分かれます。

 

ここでは5つの塗装方法について、それぞれの特徴や注意点を紹介していきます。ご自宅の塗装方法がどれに当てはまるかチェックしながら読み進めてみてください。

 

リシン仕上げ

リシン仕上げはモルタル外壁のなかで最も正統派な仕上げ方です。スプレーで吹き付けて作っていくため、リシン吹き付けとも呼ばれます。

 

セメント、小さな砂利や砂、樹脂を含む塗料を混ぜ合わせ、吹き付けによってザラザラした表面に仕上げていきます。マット感が強く、全体的に落ち着いた印象を演出できます。

 

オーソドックスな塗装方法なので、他の仕上がりよりもローコストに抑えられるのがメリットです。

 

ただし、表面の凹凸部分にコケなどの汚れが蓄積しやすい点に注意してください。

 

スタッコ仕上げ

スタッコ仕上げはスタッコ吹き付けとも呼ばれる塗装方法で、リシンと同じようにスプレーガンで吹き付けながら仕上げていきます。ガンの他、コテやローラーなどを使って塗装する場合もあります。

 

厚みがあり、重厚感のある外観デザインになるのが特徴です。大きな模様を描けるので高級感や立体感が生まれ、ワンランク上の仕上がりを叶えられます。

 

凹凸が激しいため、リシン仕上げよりも汚れを除去しにくいのが難点です。また、塗料が乾燥しにくく、塗膜の強度にムラが生じる可能性もあります。

 

近年ではモルタルセメントを用いた方法が主流となっています。

 

吹き付けタイル仕上げ

吹き付けタイル仕上げはランダムな模様を付けられる仕上げ方で、「ボンタイル仕上げ」や「複層模様吹き付け」と呼ばれることもあります。

 

タイルガンという特殊な機械を使い、不規則な凹凸を表現します。塗料に砂利や砂を含まないため、ザラザラ感が少なく陶磁器のような見た目が特徴です。

 

また、水を弾きやすい性質があり防水性も備わっています。弾性タイル仕上げにすれば、ひび割れしやすいモルタルの弱みもカバーできます。

 

平らな表面にする「凸部処理仕上げ」、吹き付け後に何も手を加えない「吹き放し仕上げ」など仕上げ方の種類も豊富です。

 

パターンローラー仕上げ

パターンローラー仕上げは凹凸が付いた専用ローラーで、モルタル表面に模様を作る仕上げ方です。

 

選んだローラーの凹凸によって好きなパターンを自由に作れるのが特徴です。タイル調、波模様、リーフ柄、花柄、など多彩なデザインから選べるため、他と被らない個性的な外壁に仕上がります。

 

また、ローラーのみを使って塗装するため、安全性と作業性が高い点もメリットです。

 

左官仕上げ

左官仕上げは、左官職人がコテやくしなどを使い、一つひとつ手作業で模様を作る仕上げ方です。

 

コテの種類や動かし方によってさまざまな模様を表現できるので、デザイン性にこだわる方によく選ばれています。近年はアイカ工業の「ジョリパット」やエスケー化研の「ベルアート」といった仕上げ材が人気です。

 

ただし、左官職人の技術力によって出来栄えが左右される点には注意しましょう。色ムラや塗り残しがない美しい仕上がりにするには、腕の良い職人を見極める必要があります。

 

施工事例や実績などをあらかじめチェックしておくと安心です。

 

モルタル外壁のメンテナンス方法と劣化症状

モルタル外壁はひび割れを起こしやすいという特徴があります。

 

外壁のひび割れは、木材の伸縮や建物の揺れなどあらゆるタイミングで発生します。そのため、定期的にメンテナンスして劣化症状に備えておくことが大切です。

 

ここからは、劣化症状別の適切なメンテナンス方法について解説していきます。

 

モルタル外壁は定期的に外壁塗装が必要

ひび割れに弱いモルタル外壁は、何もトラブルが無かったとしても基本的に10年サイクルで塗り替えします。10年以上経過すると劣化の進行が早まるため、遅くても15年以内には必ず実施しましょう。

 

再塗装の場合は、使用した塗料によって塗り替えサイクルが異なります。耐用年数が最も短いアクリル系塗料であれば6~8年、長持ちするフッ素系塗料は18~20年が目安です。

 

ただし、10年未満でも外壁に劣化症状が現れ始めたら、早めにメンテナンスすることをおすすめします。

 

モルタル塗装の劣化症状・対処法

モルタル外壁によくある劣化は、ヘアークラック・構造クラック・チョーキング現象・剥がれ・カビやコケの5パターンです。

 

それぞれに対する適切な処置を紹介していきます。

 

ヘアークラック:隙間を埋める

ヘアークラックとは、0.05〜0.3mm未満の浅いひび割れのことです。施工から年数が経過しているモルタル外壁に多く見られる症状で、モルタルの水分が乾燥したときの収縮によって発生します。

 

壁内部まで進行することはないため、それほど重症ではありません。しかし、外壁全体に複数のヘアークラックが起きている場合は経過観察が必要です。

 

適切な対処法は、コーキング剤やシーリング剤を使ってひび割れた隙間を埋めることです。クラックをきちんと補修したあと、外観を整えるために塗装します。

 

構造クラック:補修と塗装が必須

構造クラックとは、0.4mm以上の深いひび割れのことです。ヘアークラックよりも深刻で、モルタル内部の防水シートまでひび割れが達している恐れがあります。

 

対処が遅れると雨水が侵入し、建材などの腐食や湿気を好む害虫の発生原因となります。

 

建物全体の強度が低下し安全性が損なわれるため、早急に対策しなければなりません。症状の程度によっては外壁塗装だけでなく、外壁材や下地の張り替えが必要となるケースもあります。

 

対処法としては、ひびの周囲をV字またはU字にカットし、コーキング材を充填して隙間を埋めることです。充填後は弾力性の高い弾性塗料などを使い、外壁表面を保護していきます。

 

チョーキング現象:塗装を検討

外壁を触ると手に白い粉のようなものが付く現象をチョーキングといいます。この現象は塗料に含まれる顔料が分離し、白色の顔料が表面に浮き出ている状態です。

 

チョーキングの発生は、塗膜の防水性が低下していることを示しています。外壁が水分を吸収しやすくなり、カビや雨漏りの原因にもつながるため、早めに対処することが重要です。

 

まずは高圧洗浄によって外壁をきれいに洗い流し、その後、塗膜の塗り替えを行います。古い塗膜が残っていると、新しく塗り直してもすぐに剥がれ・膨れが起きてしまうので注意しましょう。

 

モルタルの浮き・剥がれ:補修と塗装が必要

モルタルが付着力を失い、ぷかぷかと浮き上がったり剥がれている状態です。表面が剥がれてしまうと、見た目が悪くなり、外壁も保護できず落下による怪我や事故を招く危険があります。

 

浮き・剥がれは外壁保護機能がなくなっているサインです。さらに劣化が進むと塗膜の浮きが全体に広がる可能性があるため、早めに対処しましょう。

 

対処法の第一ステップは、浮きや剥がれが起きている場所をきれいに取り除くことです。その後、高圧洗浄で清掃し補修していきます。

 

症状がひどい場合は、壁全体の処置が必要になるケースも考えられます。

 

カビやコケ:洗浄を行う

モルタル外壁は表面に凹凸が多いため、カビ・コケが生えやすい特徴があります。カビやコケによって耐久性が劣ることはありませんが、美観が失われ衛生的にも良くありません。

 

軽度のコケであれば、コケ用洗剤を使って自宅でも簡単に落とせます。高所のコケには柄の長いモップや高圧洗浄機で洗い流すようにしてください。

 

重度のコケは業者に依頼し、バイオ洗浄をやってもらいましょう。コケ用洗剤で無理にこすってしまうと、外壁を傷める可能性があります。

 

また、カビ・コケが繁殖してから1年以上経過している場合は、専門業者に相談することをおすすめします。

 

モルタル外壁に外壁塗装を行うときのおすすめ塗料

モルタル外壁には下塗りに弾性塗料を使うのがおすすめです。

 

弾性塗料とはゴムのように弾力性に優れた塗料のことをいいます。外壁の動きに柔軟についていくので、モルタルの弱点であるひび割れをうまくカバーしてくれます。

 

一方、伸縮性の高さから、熱や湿気によって塗膜の膨れを起こす場合もあります。

 

単層弾性塗料

単層弾性塗料とは粘度の高いゴム系塗料のことで、弾性シーラーを塗って2回上塗りします。

 

上塗材を密着させてムラのない塗装に仕上がるのが特徴です。また、塗装回数が3回で済むため、少ない工程数で終えることができます。

 

ただし、重ね塗りの回数が少ない分、強度は低めである点に注意してください。

 

微弾性塗料

単層弾性塗料と複層弾性塗料の中間に位置するのが微弾性塗料です。複層弾性塗料ほどではないけれど弾力性のある塗料が良いという場合に人気を集めています。

 

微弾性フィラーという下塗り材を塗り、上塗りを2回行います。小さなクラックなら埋めることが可能で、密着性と下地の強化に優れています。

 

塗装回数が3回なので費用を抑えられますが、複層弾性塗料に比べると耐久性はやや低めです。

 

複層弾性塗料

5回塗りが基本で、3種類のなかでは最も強度・耐久性の高い塗料です。

 

弾性シーラーを塗ったあと、中塗り2回、上塗り2回と念入りに重ね塗りを行います。しっかりとひび割れ対策したい方におすすめです。

 

デメリットとしては、他よりもコストがかかる点が挙げられます。また、工程数が多くなるため工期も長くなります。

 

モルタル外壁に外壁塗装を行う際の費用

モルタル外壁の塗装費用は、30~40坪の一般住宅でおおよそ100万円前後です。ベランダや浴室なども塗装する場合は、さらに30万円ほど上乗せされます。

 

また、中塗りや上塗りに使用する塗料の種類によっても変わってきます。目安の費用は以下の表のとおりです。

 

ウレタン

70~110万

シリコン

80~125万円

フッ素

90~140万円

無機

110~115万

 

ただし、住環境や劣化状態などによって、外壁塗装にかかる費用は左右されるので、あくまで参考程度に留めておいてください。

 

モルタルの外壁塗装の注意点

モルタル外壁を塗装する際は、覚えておきたい注意事項がいくつかあります。外壁塗装することで生じるデメリットもきちんと把握した上で、塗装を依頼するか検討しましょう。

 

ここではよくある2つの注意点を紹介します。

 

独特の模様が消えてしまう

モルタル外壁はリシンやスタッコなど意匠性の高いデザインが特徴です。しかし、塗装してしまうと表面が均一になり、せっかくの柄や模様が消えてしまいます。

 

今のデザインを残すとなると、塗り替えでは対応できないため外壁自体の工事が必要です。大規模補修になるので、かなりの時間と費用がかかることを覚えておきましょう。

 

また、元の風合いを残したい場合は、再度吹き付けにするのも一つの手段です。

 

ヒビの補修跡が残る可能性がある

モルタル外壁にできたひび割れは、完全に消せない可能性があります。

 

ひび割れには隙間を補修材で埋めるという対処法が一般的ですが、どうしてもひびを塞いだ部分だけ質感が変わってしまいます。太陽の光が当たると、ひび部分だけ浮いたように見えることもあります。

 

幅0.3mm以下の小さなひびであれば、塗装だけで隙間を埋められるため跡がそれほど目立ちません。そのため、できるだけひびがないうちに塗装しておくことが大切です。

 

モルタル塗装の性質を理解して適切なメンテナンスをしよう

モルタルは古くから住宅の外壁として使われてきた素材で、吹き付け塗装によるデザイン性の高さがメリットです。塗装方法によってもさまざまな仕上がりを選択でき、こだわりの外壁を演出できます。

 

ただし、ひび割れを起こしやすいため定期的なメンテナンスが必要です。すでにひび割れしている場合は、劣化症状に合わせて適切に対処しましょう。

 

おすすめ塗料や費用について詳しく知りたい方は、専門業者へ問い合わせることをおすすめします。この記事を参考に、モルタル外壁の塗装を検討してみてください。

 
お客様の声