外壁材の種類ごとの機能や価格|おすすめの外壁材を紹介

外壁材に何を選ぶかは住宅の性能を左右する大切な選択の一つです。しかし、外壁材にはさまざまな種類がありデザインも異なるため、選ぶのに迷ってしまうものです。

 

そこで今回の記事では、外壁材の種類ごとの特徴・価格・メンテナンス頻度から、メリット・デメリットまで徹底解説していきます。外壁材を選ぶ際に役立ててください。

よく使う外壁材の種類一覧

住宅に使われる外壁にはさまざまな種類があります。一般的によく使われる外壁材の種類ごとの、価格とメンテナンス頻度、特徴を下表にまとめました。

 

価格

寿命/メンテナンス頻度

特徴

窯業系サイディング

3,000~6,000円/㎡

25~30年/10年

バリエーション豊富

金属サイディング

4,000~7,000円/㎡

30年/10~15年

優れた断熱性と耐震性

木質系サイディング

6,000円~8,000円/㎡

30年/7~10年

本物の木のあたたかみ

樹脂サイディング

8,000~10,000円/㎡

30年/30年

寒冷地に特化

モルタル外壁

1,500~4,000円㎡

30年/10年

デザイン性が高い

ALC外壁

7,000〜15,000円/㎡

50年/10年

耐熱性に優れる

非常に軽量

ここでは、それぞれの外壁材についてさらに詳しく見ていきましょう。

窯業系サイディング

日本の住宅の約80%を占めている外壁材が、窯業系サイディングです。窯業系のサイディングは、80%がセメント、残り20%が繊維質、増量材でできています。

 

3,000〜6,000円/㎡と手頃な価格で、かつ機能性・デザイン性などにも優れるためバランスのよい外壁材です。色柄やデザインも豊富にあるため、好みの住宅に仕上げやすいという特徴があります。

金属サイディング

金属サイディングとは、名前の通り素材が金属のサイディングのことです。表面はスチール板など金属素材でできており、裏面に断熱材が施されています。

 

価格は、4,000〜7,000円/㎡が相場です。比較的丈夫で低価格な外壁材で、断熱性に優れます。サイディング自体の重さがないため、軽くて耐震性も高いのが特徴です。

 

金属の持つ重量感のある見た目が、シンプルでおしゃれだと人気があります。素材が金属製という特性上、非常に軽いため外壁のカバー工法にも用いられることの多い外壁材です。

木質系サイディング

木質系のサイディングは、木材の表面を加工して耐火性能の機能を加えた外壁材のことです。セメント・金属・樹脂など、他の素材にはない本物の質感を好む人が多く見られます。

 

しかし価格は6,000円〜8,000円/㎡と比較的高く、経年劣化の影響を受けやすいためこまめなメンテナンスは欠かせません。

 

それでも天然の木材ならではのランダムな木目は魅力的で住宅のデザインにこだわる人には人気があります。

 

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、シーリングという目地材を使わないためメンテナンスの負担が少ないという特徴があります。塩化ビニル樹脂を主原料としており耐久性が高く塩害に強いため、寒冷地や沿岸地域の住宅にも適している外壁材です。

 

しかし色とデザインの選択肢も広くありません。また相場価格は8,000〜10,000円/㎡と比較的高めです。

 

北米でのシェアは50%と高いですが、日本で取り扱う業者は多くありません。施工したい場合は、事前に樹脂系サイディングの取り扱いがあるか確認することをおすすめします。

モルタル外壁

モルタル外壁は、住宅に昔から使われている湿式の外壁材で、現在でも新築住宅に広く用いられています。網状の金物などの上から職人がモルタルを左官で塗り、その上から塗装して仕上げるのが一般的です。

 

モルタル外壁の相場は、1,500〜4,000円/㎡と手頃で、十分な防火性があります。サイディングのような継ぎ目がなく、曲面の壁などどんな形状の外壁にも対応可能でデザインの自由度が高い外壁材です。

 

ALC外壁

ALC外壁材は、日本語では「軽量気泡コンクリート」と呼ばれる素材の外壁材です。コンクリートと原料は同じでありながら重量はコンクリートの1/4と軽量で、耐火性・耐久性・断熱性に優れます。

 

相場は7,000〜15,000円/㎡と安くはありませんが、高い性能を求める人に人気です。ALCは厚みによって薄型と厚型に分けられます。使い分けは以下の通りです。

 

  • 薄型:35〜75mm 木造、鉄骨造
  • 厚型:75mm以上 耐火建築物

 

主に、住宅では薄型が使われると考えてよいでしょう。

外壁材の種類別メリット・デメリット

外壁材は、種類ごとに素材が異なるため得意・不得意があります。性能で比較すると以下の表の通りです。それぞれの性能の特徴を知り、自宅の外壁材を選びましょう。

 

 

防水性

防火性

断熱性

耐震性

デザイン性

窯業系サイディング

金属サイディング

木質系サイディング

樹脂系サイディング

モルタル外壁

ALC外壁

 

ここでは、それぞれの外壁材のメリット・デメリットを詳しく紹介します。

窯業系サイディング

窯業系サイディングは、防火性に優れ、断熱性や防水性、耐震性も期待できます。とてもバランスのよい外壁材といえるでしょう。メリット・デメリットを詳しく説明します。

 

メリット

窯業系サイディングは、バリエーションが豊富で好みに合わせて柄を選べるのがメリットです。タイル調や木目調など非常に多くの色柄が取り揃えられているため、好みのデザインに仕上げるのに困らないでしょう。

 

またコストパフォーマンスも良く、耐震性と耐火性にも優れます。施工性も高いため工期が短く、およそ24〜33日で仕上げることが可能です。

 

色あせやひび割れも起こりにくいというメンテナンス性の高さも、多くの人に選ばれている理由でしょう。

デメリット

窯業系サイディングのデメリットは、防水機能が低いことです。サイディングボード自体には防水性がないため、定期的に塗装を行う必要があります。

 

また、サイディングボードとサイディングボードの間には目地があり防水のためにシーリングを行いますが、目地材もメンテナンスが欠かせません。

 

目地材が痩せて隙間が空いてしまうと、外壁材の内部に雨水が入り込むなどの恐れがあります。塗り替えと同時に、シーリングの打ち替えも行ったほうがよいということを念頭に置いておきましょう。

 

モルタル外壁

モルタル外壁は、防火性とデザイン性に優れた外壁材です。メリット・デメリットを押さえておきましょう。

メリット

モルタル外壁はサイディングボードとは違い継ぎ目がなく、表面が美しいためデザイン性に優れているのが魅力です。シーリングがないため劣化の心配はありません。

 

さらに優れた耐火性能を持ち、種類によっては耐火二等級以上、最高性能の耐火4等級以上のものもあります。

 

職人がコテやローラー、吹付けガンなどを使って手で施工していくため、意匠性の高い外観が作れます。他の工業化されたサイディングにはない風合いを出せるのも、モルタル外壁ならではの魅力でしょう。デザイン住宅や南欧風、海外風の住宅にも広く用いられています。

デメリット

モルタル外壁のデメリットは、防水機能は乏しくひび割れが起こりやすいことです。防水性を保つためには、定期的な塗り替えのメンテナンスが欠かせません。

 

また、職人が手で施工していくため施工期間やコストはどうしてもかかってしまいます。

 

さらにコテ塗りなどは施工する職人の技術力が必要で、見た目が職人の腕に左右されてしまう点にも注意が必要です。施工経験があり、実績が豊富な業者に施工を依頼するのがポイントといえるでしょう。

金属サイディング

金属サイディングは、防火性・断熱性・耐震性に優れた素材です。メリット・デメリットを詳しく説明します。

メリット

金属サイディングは、優れた断熱性が魅力です。また、素材自体が軽量で建物の構造体にかかる負担が少ないため、耐震性にも優れます。

 

また金属という素材の特性上、湿気や水分を含むことがないため凍害に強いのもメリットです。寒冷地などに家を建てるときにも向く外壁材だと考えてよいでしょう。

 

性能が高いにもかかわらず素材自体も施工コストも安いため、コストパフォーマンスに優れます。コストと性能のバランスを重視する人には、おすすめの外壁材です。

>>外壁塗装のサイディングについて詳しく確認する

 

デメリット

一方で、金属サイディングは外部から衝撃を受けると傷がつきやすく、塗装が剥がれると

サビが発生してしまいます。

 

傷や欠けから酸性雨や塩害の被害を受けやすいのもデメリットです。沿岸地域では、潮風の影響から錆が起こりやすいためメンテナンスは欠かせません。

 

また、近年はレンガ調や木目調もありますが、窯業系サイディングに比べるとデザインのバリエーションはやや劣ります。クールな見た目やシンプルなデザインが多いため、カタログなどで施工例を確認して、外観が好みに合うか確認してから決めましょう。

 

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは断熱性に優れ、耐震性・耐水性も高めです。メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット

樹脂系サイディングはひび割れにくく耐久性に優れた外壁材です。寒さや潮風にも強いため耐候性が高く、寒冷地や沿岸地域でも使用できます。

 

金属とは異なるためサビも起こらず、再塗装は必要ありません。色褪せにくいため、建物の美観性が長続きするでしょう。

 

また樹脂でできているため軽量で建物の構造体にも負担になりにくく、耐震性にも優れます。

 

施工の際にコーキングを行わないタイプを選べば、目地のメンテナンスも必要ありません。方法によっては、目地のメンテナンスコストを抑えることも可能でしょう。

デメリット

樹脂系サイディングのデメリットは、耐火性能が低いことです。また、カラーバリエーションが少ないため、見た目が単調になりがちでデザインの好みが分かれます。さらに塩化ビニルは燃えやすいため、防火性にも不安を覚える人も少なくありません。

 

そして北米など海外ではシェア率の高い外壁材ですが、日本では普及率が低く施工できる業者が限られてしまいます。施工したい場合は、事前に取り扱いがあるかを業者に確認しましょう。

ALC外壁

ALC外壁は、防火性・断熱性・耐震性に優れた外壁材です。メリット・デメリットを説明します。

メリット

ALC外壁は耐久性が50年と、他の外壁材と比べて長いのが特徴です。内部の気泡が空気の層を作るため、断熱性が高いのも魅力の1つでしょう。

 

また内部の気泡があることで遮音性も高いため、都市部や幹線道路沿いの住宅で使う外壁材にも適しています。ALCの主成分はセメント・生石灰・珪石など自然界にある素材で、環境に優しい外壁材です。

 

高性能でありながら軽量で、特殊な工法で構造体と接続されているため、地震の揺れにも強い特徴があります。

デメリット

ALC外壁は防水性が低いため、防水のための塗装は欠かせません。素材の特性上、吸水性が高く、外壁内部に湿気や水分がしみ込んでしまうリスクがあるためです。

 

また表面強度が低いため、大型タイルや石材など重い仕上げ材をつけられません。工法上つなぎ目が多いのは避けられず、雨漏りのリスクもあります。

 

また、他の外壁材に比べるとコストは安くありません。耐用年数が長い分、コストパフォーマンスは良いという見方もできますが、定期的にメンテナンス費用がかかることも念頭に置いておく必要があります。

 

外壁材の種類の選び方とおすすめ外壁材

ここまで紹介してきた通り外壁材にはそれぞれに特徴があるため、目的にあったものを選ぶことが大切です。ここでは、外壁の種類の選び方とおすすめの外壁材を紹介します。

価格で選ぶなら「窯業系サイディング」と「金属系サイディング」

価格で選ぶなら、窯業系サイディングか金属サイディングがおすすめです。住宅の坪数にもよりますが、外壁は㎡単価で計算するため種類が違うと数十万円の差が出てくることも少なくありません。

 

施工コストを抑えるのに安い外壁材を選ぶのは得策ですが、安すぎる外壁材には注意が必要です。数年で劣化してしまい早くメンテナンスが必要になることも考えられます。

 

外壁の種類は、耐用年数と価格のバランスをみて選ぶことをおすすめします。

メンテナンスの少なさで選ぶなら「ALC」

メンテナンス頻度をなるべく抑えたいなら、ALC外壁を選びましょう。メンテナンスが必要ない外壁材は存在しませんが、頻度を減らすことは可能です。

 

ALC外壁は窯業系サイディングや金属サイディングと比較すると、耐久性は約20年ほど長いです。耐久性が長い分、貼り替えなどの費用はALCのほうがかかりにくい可能性があります。

 

窯業系サイディング、金属サイディング、ALC外壁のどれを選んでも塗り替えや目地補修のメンテナンスはかかりますが、長期的な目線で耐用年数を考えると、ALCを選んだほうが長持ちすると考えてよいでしょう。

デザイン性で選ぶなら「モルタル」

外壁の種類をどれにするかによって、住宅のデザインは大きく異なります。デザイン性の高さで選ぶなら、モルタル外壁がおすすめです。

 

とはいえ、外壁材の色柄によってどんな違いが出るのかイメージがつかないこともあるでしょう。そんなときは事前にシュミレーションをしてみるのがおすすめです。

 

また、外壁材は周辺の街並みや景観と調和するデザインを選ぶことも重要です。都市部でマンションが多い住宅と田園風景の中に建つ住宅では、周辺に馴染む色が異なります。

 

外観や周辺環境と兼ね合わせて、住宅の外壁の種類を選ぶことが大切です。

外壁の種類別の特徴を理解して目的に合う外壁を見つけよう

外壁の種類にはさまざまなものがあり、それぞれに性能や特色が違います。どの外壁材を選ぶかによってメンテナンス性も左右されるため、納得のいく外壁材を選ぶことが重要です。

 

ご自宅の周辺環境や、今後どの程度のスパンでメンテナンスしていくかを考えて、納得のいく外壁材を選びましょう。

 
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