外壁塗装費は確定申告して税金・ローン控除する方法を解説

外壁塗装をおこなうことで税金が安くなることがあります。そのためには確定申告と、条件に合った工事内容が必須です。

 

ここでは適用される可能性がある4つの所得控除と、それぞれの適用条件についてお話しします。目を通すことでご自身の工事が控除の対象かどうかがわかるでしょう。また実際に得をする金額や、確定申告の注意点、必要な書類の一覧、取り寄せる方法についても見ていきましょう。

外壁塗装の確定申告で適用される4つの税金控除


●      住宅借入金等特別控除

●      特定増改築等住宅借入金等特別控除

●      住宅特定改修特別税額控除

●      雑損控除


外壁塗装をおこなうことで、受けられるかもしれない税金控除は以上の4つです。中でも使えることが多いのが一番上の住宅借入金等特別控除で、こちらは確定申告をおこなうことで、ローン残高の1%が所得から控除されるというものです。

住宅借入金等特別控除

住宅借入金特別控除の対象になるのは、ローンを組んで自宅を増改築したケースです。外壁塗装は改築に含まれるため、10年間減税の恩恵を受けられます。

 

しかし注意すべきは、外壁塗装を含む増改築のすべてが制度の対象にはならないことです。リフォームの金額が100万円以上で、ローンの期間が10年以上など、細かな適用条件が定められています。

 

たとえば条件に適合させるために、工事の範囲を拡大したり、月々の支払いを抑えてローン期間を延長させたりする必要がある場合もあります。

適用条件

1.自身が所有、かつ、実際に居住している自宅の増改築または大規模の模様替えの工事であること

2.取得または増改築をした日から6か月以内に住み、適用を受ける年の12月31日まで住んでいること

3.建物の床面積が50㎡以上であること、床面積の半分以上が居住部分であること

4.申告者の所得が3,000万円以下であること

5.外壁塗装を含む工事費が100万円以上で、その半分以上が居住部分の工事費用であること

6.10年以上のリフォームローン期間があること

7.ほかの住宅関連控除制度を利用していないこと

 

住宅借入金特別控除が適用される条件は、以上の7点にまとめられます。上の項目では条件の5.と6.について触れましたが、他についても見ていきましょう。

 

条件1のポイントは、自宅以外の増改築は税金控除の対象にならないことを表しています。たとえば店舗の増改築をおこなっても、対象にはなりません。

 

条件2では、「適用条件は、増改築した自宅に住み続けていること」としています。別荘や別宅には住み続けるわけではないことから、これらの増改築はローン控除の対象外です。

 

条件3の通り、床面積や用途も適用条件に含まれています。物置小屋を増改築しても、ローン控除の対象にはなりません。

 

条件4と7には所得制限があり、他の住宅関連の制度との併用はできないことが書かれています。ポイントは家庭の合計ではなく、申告者の収入となっているところです。

 

また国税庁では以下に該当する工事も対象としています。

 

イ 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事

(注)「建築基準法に規定する大規模の修繕または大規模の模様替え」とは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除きます。)、柱(間柱を除きます。)、床(最下階の床を除きます。)、はり、屋根または階段(屋外階段を除きます。)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えをいいます。

ロ マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事(イに該当するものを除きます。)

ハ 家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(イおよびロに該当するものを除きます。)

ニ 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定または地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事(イからハに該当するものを除きます。)

ホ 一定のバリアフリー改修工事(イからニに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成19年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)

ヘ 一定の省エネ改修工事(イからホに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成20年4月1日以後の居住の用に供した場合に限ります。)


引用元:国税庁 | 出典:増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1216.htm

 

控除額

控除額に関して、具体的な金額を例に挙げて解説すると、1,000万円のローン残高を抱える、年間所得550万円の方なら、住宅借入金特別控除を利用することで、10万円×20%の2万円得をします。ローン残高の減少にともない額は減っていきますが、減税は10年間続きます。

 

たとえば年金で生活されている方など、中には納めている所得税額では、控除の金額を超えてしまうという方もいることでしょう。この場合の控除に足らない分は、住民税を減らすことで補われます。

特定増改築等住宅借入金等特別控除

特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象になるのは、ローンを組んで自宅を特定増改築したケースです。特定増改築とは、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事を含む増改築などを指しています。

 

外壁に断熱・遮熱効果のある塗料を用いることが、省エネ改修工事であるとみなされた場合、外壁塗装も特定増改築に含まれることになり、5年間の税金控除を受けられます。

 

ただし国税庁のHPによると断熱工事の条件は、リフォーム前より断熱等性能等級が1段階以上上がり、省エネ性能が断熱等性能等級4など特定の基準を満たす場合のみです。

 

つまり断熱・遮熱効果があるとされる塗料を用いる場合でも、控除の対象になるかどうかを、しっかりと確認しておく必要があります。

 

適用条件

1.自身が所有する家屋での省エネ改修工事であること

2.平成20年4月1日から令和3年12月31日までの間に居住していること

3.外壁塗装の施工費が50万円以上で、その半分以上が居住部分の工事費用であること

4.増改築等の日から6か月以内に住み、適用を受ける年の12月31日まで住んでいること

5.申告者の所得が3,000万円以下であること

6.建物の床面積が50㎡以上であること、床面積の半分以上が居住部分であること

7.5年以上のリフォームローン期間があること

8.ほかの住宅関連控除制度を利用していないこと

 

省エネのためのリフォームで特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けるには、以上8つの条件を満たしている必要があります。条件1や4など住宅借入金特別控除で触れた内容と重複するもの以外について、少し詳しく見ていきましょう。

 

条件2のポイントは、13年以上住み続けている自宅の改修に限るという意味です。期間の数え始めや数え終わりの年度は、制度が導入される年度によって、それぞれ変化します。

 

条件3は店舗付きの自宅などの場合に注意すべき点や、住宅借入金特別控除より低いリフォーム費用でも、控除の対象になることを示しています。

 

条件7からは住宅借入金特別控除よりローン期間が短くても、制度が適用されることがわかります。

 

 

参考:借入金を利用して省エネ改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)|国税庁

控除額

特定増改築等住宅借入金等特別控除の控除額は「A×2%+(B-A)×1%」で算出されます。

 

Aとはリフォームローンの年末残高の内、断熱改修工事に当たるとみなされた金額のことで、上限は250万円です。

 

Bとはリフォームローンの年末残高の合計額で、上限は1,000万円となっています。

 

具体的には、AとBが年度末にそれぞれ上限だった場合、1,000万円×2%+(1,000万円-250万円)×1%となり、27万5,000円が所得税から控除される計算になりますが、控除額には12万5,000円の上限が定められていますから、上限額での控除ということになります。

 

ちなみに所得が550万円の方なら12万5,000円の20%、2万5,000円得をするということです。ローン残高の減少にともない額は減りますが、この減税は5年間続きます。

 

住宅特定改修特別税額控除

住宅特定改修特別税額控除とは、省エネ改修をした場合に住民税の減税が受けられる制度です。

 

上で説明した、特定増改築等住宅借入金等特別控除との違いは、リフォームローンを組んでいなくても控除を受けられることで、現金やクレジットカードなど一括で支払った場合が対象となっています。

 

外壁塗装がこの制度の対象となるのは、断熱・遮熱塗料を用いての外壁塗装が、省エネ改修工事であるとみなされた場合のため、特定増改築等住宅借入金等特別控除の場合と同様です。

 

上でも説明しましたが、特別な塗料での外壁塗装でも、実際に省エネ効果が得られないと判断された場合は対象外となります。そのためリフォームを行う前に、制度の対象になるかどうかを確認しておきましょう。

 

 

適用条件

1.自身が所有する家屋での省エネ改修工事であること

2.平成21年4月1日から令和3年12月31日までの間に居住していること

3.一般省エネ改修工事の日から6か月以内に住んでいること

4.申告者の所得が3,000万円以下であること

5.改修部位の省エネ性能がいずれも平成28年基準相当以上

6.外壁塗装の施工費が50万円以上で、その半分以上が居住部分の工事費用であること

7.建物の床面積が50㎡以上であること、床面積の半分以上が居住部分であること

 

一括での支払いで、所得税の減税を受けるための条件は、ローンを使った場合と似ています。多くの部分で重複していますから、ここでは異なっている条件についてのみ解説します。

 

まず異なっているのは、条件2の住み続けている期間についてです。ローンを使ったリフォームの場合、条件は13年以上住み続けている必要がありましたが、一括での支払いの場合は、1年間短い12年以上住み続けていれば、制度が適用されます。

 

条件5に書かれているのは外壁塗装による省エネ効果が、本当にあったのかどうかについてです。外壁の劣化を防ぐためだけの外壁塗装では、減税制度が適用されないことから、施工前には確認が必要です。

 

 

参考:省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)|国税庁

控除額

所得からの控除は、工事が完成した年度に1度だけ受けられます。控除される金額は工事費用の10%、外壁塗装の場合は250万円が上限となります。

 

外壁塗装を含む断熱工事を上限いっぱいでおこなった場合、所得税率が20%の方なら1回限りですが、5万円お得になる計算です。

 

雑損控除

雑損控除とは、リフォーム費用を雑損として計上することで、工事費用の全額を所得税の対象から控除できる制度です。減税額はかなりのものとなりますが、雑損控除できる条件は災害で損害を被った場合のみとなります。

 

ここでの災害とは、通常の火災保険と異なり、地震によって引き起こされた被害も対象です。地震でできた外壁のひび割れを補修・塗装するなどの工事も減税の対象になるでしょう。

適用条件

雑損控除を受けるためには、被害を受けた建物が納税者本人か、納税者と家計を共にしている方の資産でなければなりません。被害を受けた建物が納税者と家計を共にする方の資産の場合、その方の総所得が48万円以下の配偶者や親族である必要があります。

 

参考:災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁

控除額

(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%

(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

 

これらの内、大きな金額となるのが雑損控除での控除額です。

 

上の計算式の「損害金額」とは、損害を受ける直前の資産の時価で、「災害等関連支出」とは、修理に使ったお金のことをそれぞれ指しています。外壁塗装には当てはまりませんが、たとえば地震で家屋が全壊して更地にした場合は、家屋の解体・撤去作業の費用が災害等関連支出に含まれます。

 

かなり大きな金額になることから、控除額がその年の収入を上回ってしまう場合もあるでしょう。その場合の差額は、翌年の所得からも控除できます。

 

確定申告できる期間

住宅借入金等特別控除など4つの所得控除に必要となるのが確定申告です。自営業の方なら問題はありませんが、経験がない会社員の方なら戸惑ってしまうことでしょう。

 

確定申告は必要書類をそろえて、税務署に持参するか、郵送、Webでの申告「e-Tax」を利用して行いますが、それぞれ申告できる期間は定められています。

 

変更がなければ令和3年度の確定申告は、2022年2月16日(水)から2022年3月15日(火)までとなります。

外壁塗装の確定申告に必要な書類

●      申告者の身元を証明する書類

●      各種控除額の計算明細書

●      住宅ローンの年末残高を証明する書類

●      増改築等工事証明書

●      外壁塗装する建物の登記事項証明書

●      外壁塗装する建物の登記事項証明書

●      申告者の源泉徴収票

●      補助金が支給されたことを証明する書類


本来の確定申告のために必要な書類は、上に書かれた8点だけでは足りません。しかしこれからお話しするのは、外壁塗装で所得税の控除を受けるためだけに必要な書類についてです。

リフォームローンを使って10年間もしくは5年間の控除を受ける場合、確定申告が必要になるのは最初の1年だけとなっています。そのため少々面倒でもしっかりと申告を済ませましょう。

申告者の身元を証明する書類

税務署まで出向いて対面で申告するなら、マイナンバーカードか運転免許証、パスポートなど写真付きの身分証明書が身元を証明する書類が必要になります。写真付きの証明書がない場合、保険証や年金手帳など、写真ナシの身分証明書2つ以上で写真付きのもののかわりにできます。

 

郵送での申告ならそれぞれのコピーを同封すれば問題ありませんが、スマホなどでオンライン申告をするならば、マイナンバーカードが必要です。

 

各種控除額の計算明細書

対面や郵送での申告の場合、必要になるのが各種控除額の計算証明書です。税務署や国税庁のサイトから用紙をダウンロードできるため、必要事項を記入の上で持参・郵送してください。オンライン申告の場合は不要です。

住宅ローンの年末残高を証明する書類

残高を証明する書類は、ローンを組んでリフォームをおこなった場合に必要です。ローン先の金融機関から郵送されますが、手元にない場合は問い合わせ、取り寄せや再発行を依頼してください。

増改築等工事証明書

増改築等工事証明書は、外壁塗装などリフォームを確かにおこなったことや、省エネなどの効果が実際にあったことを証明するための書類です。多くの塗装業者では証明書の発行はおこなっていないため、発行のために必要な書類の一部を用意してもらう形になります。

 

発行のために必要な書類とは「契約書の写し」「工事の内訳書」「設計書類」「登記簿」「補助金交付額決定通知書」の5つです。

 

外壁塗装を依頼する前に、増改築等工事証明書がほしい旨を業者に伝えておくことで、建築士を紹介してもらうなど、スムーズに手続きを進められる場合もあります。

外壁塗装する建物の登記事項証明書

外壁塗装をする建物が自己所有のものであることなど、税金控除の対象になっていることを証明するための書類が、登記事項証明書です。

 

建物を手に入れた際に発行されるため手元にあることが多いのですが、見つからない場合は、法務局のサイトから取り寄せることができます。かかる費用は480~600円です。

申告者の源泉徴収票

会社員の方は、源泉徴収票が必要になります。手元にない場合は、総務課や経理課など担当部署に確認しましょう。

補助金が支給されたことを証明する書類

地方自治体の補助金を利用した場合は、補助金交付額決定通知書などが発行されています。控除額に影響するため、用意しておきましょう。

 

外壁塗装の工事費を確定申告する際に注意したいポイント

確定申告で減税を受けるには、申告の期間があらかじめ定められていることと、税制は新年度になると新しくなるかもしれないことに注意しましょう。確定申告には前もっての準備が重要です。

余裕をもって必要書類を準備する

確定申告は期限内におこなわなければなりませんが、上で見た書類を一式そろえるには、時間がかかります。

「増改築等工事証明書」をもらうには、外壁塗装をおこなった工務店からの書類をそろえなければなりませんし「住宅ローンの年末残高を証明する書類」が手元にないなら、金融機関から取り寄せなければならないなど、請求先も多岐にわたります。

慣れない確定申告をする場合は、スムーズにいかないのは当たり前と考えて、余裕を持って準備をおこないましょう。


外壁塗装実施前から支払い計画を考える

工事にかかる費用や確定申告にかかる手間と控除で得をする金額のバランスを考えて、外壁塗装の予定を立てましょう。

 

外壁塗装で所得税の減税を受けるにはハードルがあります。たとえば住宅借入金特別控除を受けるためには、工事費用が100万円を超えており、10年以上のローンを組む必要があります。

 

ひょっとすると控除を受けられない範囲内で外壁塗装をおこなったほうが、トータルで見ると安く済むこともあるでしょう。塗装業者と相談しながら、支払い計画を考えていきましょう。

最新の税制改正について確認する

税制は毎年変わるため、今までの税金控除が来年度まで続くとは限りません。控除を当てにして外壁塗装の予定を立てていては、待ったなしのはずの工事がおこなえなくなってしまうでしょう。

 

制度を上手く利用して得をするには、最新の税制を把握しておく必要があります。税制に詳しい業者のアドバイスも取り入れましょう。

 

確定申告をしっかり行って外壁塗装の工事費を税金控除しよう

外壁塗装費が所得から控除されるのは、とても便利な制度です。しかし控除を受けるには、高いハードルが設けられていますし、会社員の方なら確定申告も大変でしょう。

 

理想は外壁塗装を計画する段階から、税制に通じている業者と相談することです。外壁塗装の内容を条件に沿ったものにできますし、確定申告用の書類を取り寄せるのもスムーズにできます。

 

信頼できる業者に外壁塗装を依頼し、税金に関するアドバイスをしてもらいながら計画を立てることをおすすめします。

 
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